サービス業向けの勤怠管理システム3選!導入時の比較ポイントも紹介

サービス業での勤怠管理は、雇用形態が正社員・アルバイト・派遣社員とバラバラだったり、勤務時間のパターンが何通りもあったり、煩雑な管理に苦労している担当者も多いことでしょう。

本記事ではサービス業における勤怠管理の課題から、サービス業向けのおすすめ勤怠管理システム、導入時の比較ポイントを紹介します。

勤怠管理の方法を今よりもっと効率的なものに見直したい。そんな経営者や勤怠管理者の方へおすすめなのが勤怠管理システムの導入です。

勤怠管理システムを利用すれば、従業員がスマートフォンから申請した希望シフトから簡単にシフト作成できるのはもちろんのこと、勤怠データが自動で集計されるため、スムーズな勤怠管理が可能になります。

勤怠管理を行うことの重要性

勤怠管理を行うことの重要性

勤怠管理とは、従業員の労働時間を正確に記録して把握するために、出勤・退勤・休憩時間・残業時間・遅刻・早退・欠勤・休日・有給休暇などの状況を管理することです。もちろんどんな企業でもその規模に関わらず、何かしらの方法で勤怠管理をしていることと思います。

企業にとって勤怠管理は非常に重要な業務のひとつです。では、なぜ重要なのか改めて確認していきましょう。

コンプライアンス遵守のため

勤怠管理は労働基準法によって定められていて、企業に課された義務です。労働基準法第32条にて、法定労働時間は「1日8時間、週40時間」と定められていますが、労働時間が適正に守られているか、正しく賃金を支払えているかを正確に管理しなければなりません。

また、勤怠管理をきちんと実施していることは、コンプライアンスを遵守し健全な経営をしている企業であることをアピールすることにもつながります。

従業員の就業状況を適正に把握するため

各従業員が1日に何時間働き、残業を何時間しているかを把握することで、未然に過重労働を防ぐことができます。企業は、残業が多い・休日出勤が多いなどの問題のある労働について早期に把握して対策することができます。

長時間労働を回避することで従業員の健康維持につながり、ひいては生産性の向上にもつながります。また、訴訟などのトラブル回避のためにも重要なことです。

正確な給与計算ができる

勤怠管理が正確にできていれば、正しい労働時間が把握でき、給与計算もしやすくなります。特に残業代は保険料や税金にも関わるため、正確に把握する必要があります。他にも有給消化の状況を把握して取得に向けて適切な指導をすることも重要です。従業員との信頼のためにも適正な勤怠管理を行っていきましょう。

主な勤怠管理の方法とメリット・デメリット

主な勤怠管理の方法とメリット・デメリット

今現在、あなたの会社はどのような方法で勤怠管理を実施されていますか? 勤怠管理には、さまざまな方法があります。それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。 

紙の出勤簿

紙の出勤簿で勤怠を管理する方法です。カレンダー仕様のフォーマットに、出勤時刻・退勤時刻・残業時間・休憩時間・遅刻・早退・休日など、勤怠に関するあらゆる情報を書き込みます。誰で簡単に作成することができ、費用が一切掛からなというメリットがあります。

しかしこの方法では、全て手書きの自己申告となるため、不正申告やサービス残業の温床になりやすいというデメリットがあります。また、手書きの出勤簿から集計作業をして給与計算する際には、エクセルなどの表計算ソフトに記録し直すという手間も掛かります。集計作業にはかなりの労力と時間がかかり、転記ミスなどのリスクも考慮しなければなりません。

タイムカード

各従業員の1ヶ月分の出退勤が記録できる紙の打刻シートをタイムレコーダーに差し込んで打刻する方法です。打刻する端末を購入すれば、ランニングコストは打刻用紙のみのため低コストで導入できます。操作も簡単で誰でもすぐに使用することができます。

ただし、打刻洩れの問題やテレワークに対応できないというデメリットがあります。また、紙の出勤簿と同様、集計作業はエクセルなど別の表計算ソフトを活用して行うことになります。転記する際のミスには細心の注意を払わなければなりません。

Excel管理

転記する手間のない、打刻から集計まで同時に行えるエクセルを使った方法もあります。セルに数式を設定しておけば、従業員が出退勤時刻を入力するだけで自動的に労働時間を計算します。インターネット上には、勤怠管理の無料テンプレートも多数あり、タイムカードのように端末や用紙の準備もいらないため、パソコンにエクセルさえインストールされていれば、実質0円で導入可能な方法といえます。テレワークに対応することも可能です。

ただし、記入操作は各従業員任せとなり、入力ミスや不正申告も起こりやすいという問題があります。人数が多くなると表計算エラーが起きたり、入力時のミスでエラーが起こる場合もあります。エラーに気づかず、残業代が未払いになったりすることは、あってはならないことです。

また、法改正によって残業の割増率が変更になった場合は、計算式を修正しなければなりません。勤怠管理をエクセルで行う場合は、定期的な計算式の確認が必須です。

ICカード

個々のICカードに設定されている識別番号を利用して、出社時間・退社時間の打刻ができる勤怠管理システムが、ICカード式勤怠管理システムです。ICカードをICカードリーダーにかざし、認証音が鳴ると打刻完了です。

ICカード自体は、IC免許証や各種交通系ICカードをそのまま利用できるため、会社側で用意する必要は基本的にありません。基本の打刻機能のみならず、交通費精算機能やシフト管理機能がついているもの、残業や休暇などの各種申請まで対応できるもの、勤務時間を自動で集計できるシステムもあります。

デメリットとしては、ICカード対応の勤怠管理システムと使用するICカードに対応したICカードリーダーの導入が必要となるため、イニシャルコスト・ランニングコスト共に掛かる点が挙げられます。また、個人が所有するICカードを活用する場合には、クレジット機能や個人情報も一緒に保管することになるため、セキュリティー対策は万全にしなければなりません。

勤怠管理システム

タイムレコーダーやスマートフォン、パソコンなどと連携して打刻から集計、分析まで一貫して管理するのが勤怠管理システムです。リアルタイムで打刻管理ができる上、集計や分析も手間なしで、給与システムとも連携できます。

転記する手間と給与計算ミスが防げること、テレワークや社外労働の多い従業員がいる場合でもスマホ一つで打刻できることなど多くのメリットがあります。

データの管理にはクラウド型とオンプレミス型があり、どちらも多様な商品が市場に充実しています。打刻手段も、ICカードの他に指紋・指静脈・顔認証、GPSやSNSを使う方法などさまざまです。

もちろん、勤怠管理システムの導入コストは、その他の勤怠管理より高額になります。システム選びの際には、操作性や必要な機能、セキュリティ面などを考慮し、慎重に選び最適なシステムを導入したいものです。

サービス業における勤怠管理の課題

サービス業における勤怠管理の課題

一般的なオフィス勤務と比較すると、サービス業の勤怠管理には多くの課題があり、管理担当者は頭を悩ませているのではないでしょうか。具体的に課題を考えてみましょう。

毎月のシフト表作成の手間

サービス業の場合の勤務時間は、オフィス勤務のような平日9時~18時の8時間勤務と毎日決まっていることは少ないものです。中には24時間体制の企業もあるため、シフト分けは必須です。必然的にパート・アルバイトの雇用も多くなるため、それぞれ勤務時間も異なり、従業員の配置には非常に手間がかかります。

異なる店舗の従業員の管理が煩雑

複数店舗のあるサービス業では、店舗ごとに勤怠のデータを管理し、最終的に本部で集計するという管理方法が一般的です。ここで面倒なのが、シフトを埋めるために複数の店舗を掛け持ちする社員等がいる場合も多いことです。勤怠管理の担当者は、複数店舗を見比べて集計しなければならず、負担の重い作業となります。

勤怠管理から給与計算にいたる手続が不便

各店舗の勤怠データは、一斉に管理担当者のもとへ送られます。担当者は限られた時間でデータを集計し、給与計算へと結びつけなくてはなりません。勤怠管理と給与計算が一括管理できるシステムを導入すれば、作業の効率化につながります。

シフトの人員数と売上の不一致を管理

人員が足りない、または人員が余っている状態を避けることはサービス業の運営に必要不可欠です。シフトの人員数と売上の波を一致させることは勤怠管理の重要な役割です。
労働力不足や逆に不要な人員はうまく調整し、従業員の負担軽減と人件費削減を図りたいものです。

改正労働基準法への対応

平成22年には労働基準法が改正され、一定の時間を超えた時間外労働に対する割増賃金率が引き上げられています。今後も法改正があるたびに、勤怠管理担当者は適切な対応を迫られます。

勤怠管理で管理すべき内容

勤怠管理で管理すべき内容

サービス業の勤怠管理を行う上では、上の項目の課題を理解しつつ、勤怠管理の管理すべき内容を把握することが大切です。必ず以下の項目は把握しておきましょう。

・始業・終了時刻、労働時間、休憩時間
従業員の労働時間を正確に把握するために必要となります。賃金算定のため、始業・終業については原則1分単位で管理します。

・時間外労働時間、深夜労働時間、休日労働時間
法定労働時間を超えて働いた時間、時間外労働や深夜残業、休日出勤は、割増賃金を支払う必要があります。それぞれ割増率の適用は異なるため、正確に時間を把握する必要があります。

・出勤日、欠勤日、休日出勤日
勤務状況を1ヶ月単位で把握する必要があります。休日を正しく取得しているか、休日出勤があった場合は振替休日や代休を取得できているかなどは、従業員の健康を管理する上で欠かせない項目です。給与計算にも影響しますので、適切に管理します。

・有休取得日数、有給残日数
労働基準法の改正により有給休暇の取得は義務化され、年間10日以上の有給休暇が付与されている従業員には、必ず5日取得させなければいけません。適切に有休を取得できているか把握することも、勤怠管理の重要項目です。

サービス業向け勤怠管理システムの比較ポイントと必要な機能

サービス業向け勤怠管理システムの比較ポイントと必要な機能

サービス業の勤怠管理には、多くの課題と管理すべき重要な項目があることが分かったかと思います。これらの課題のほとんどは、勤怠管理システムを導入することで解決できる可能性があります。近年、サービス業のような複雑な勤務体制にも対応可能な勤怠管理システムが各社で開発されています。

サービス業の勤怠管理システムには、以下のような機能が備わっているとよいでしょう。

<サービス業向け勤怠管理システムに必要な機能>

  • シフト表の作成
  • 多店舗を兼務する社員の勤怠管理
  • 残業の管理機能
  • 勤怠管理と給与計算を一括処理
  • 労働基準法に対応
  • 年次有給休暇の自動付与機能

その他にもさまざまな機能を併せ持つ勤怠管理システムがあるので、実際の運用開始で失敗しないために自社に合ったシステムをじっくり選択したいものです。

勤怠管理システムを選ぶ際のポイントとしては、以下の項目を比較するとよいでしょう。

<サービス業向け勤怠管理システムの比較ポイント>

  • 複雑な勤務体系に対応できるかどうか
  • 企業の勤怠スタイルに対応しているかどうか
  • 給与計算ソフトと連動できるかどうか
  • 使い勝手は良いか
  • システム導入のサポート体制はどうか
  • アフターサービスは充実しているか 

これらが数ある勤怠管理システムを比較する上で大切な指標となりますので参考にしてください。

サービス業におすすめの勤怠管理システム

サービス業におすすめの勤怠管理システム

ここではサービス業におすすめの勤怠管理システム3選を紹介します。

ジョブカン


ジョブカンは、勤怠管理業務に必要な機能を備えたシンプルな操作性が特徴のクラウド型勤怠管理システムです。初めてシステムを利用する担当者でも迷うことなくすぐに運用を開始することができます。

シフト管理機能は、シフトに穴がある場合や人員不足の場合に、シフト募集のメールをシステム上で従業員に送信することが可能で、シフト変更の多いサービス業にとって非常に便利です。また、英語・韓国語・タイ語・ベトナム語の外国語表示ができるため、外国人従業員を多く雇っている企業にもおすすめです。

<ジョブカンの特徴>

  • シフト管理機能、残業管理機能など基本機能を網羅
  • 年次有給休暇自動付与機能
  • LINEから直近7日間のシフト確認可能
  • 対象従業員へのシフト募集メールの送信
  • 導入時の充実サポート体制
  • 初期設定代行プランもあり
  • メール、チャット、電話にて随時相談可能

また、1日の稼働時間を視覚的に確認できるライン表示形式での出勤予定表の作成も可能で、シフト管理がさらに簡単になります。

KING OF TIME(キングオブタイム)


KING OF TIME(キングオブタイム)は、さまざまな業界や働き方に対応したシステムを多く用意しているのが特徴で、サービス業にもおすすめです。特に、他社と比較して打刻方式が豊富に取り揃えられており、PC・スマホからの打刻はもちろん、顔認証、指紋認証などの打刻方式も選択できます。

導入時に必要な機材は公式サイトから購入できます。また、法改正によるシステム変更や顧客の要望を反映させた無料アップデートが年3回実施されます。労働基準法の改正などうっかり忘れてしまっては大変な項目に対応しているのは安心です。

<KING OF TIMEの特徴>

  • 最大3カ月先までスケジュール登録が可能
  • 豊富な打刻方法
  • 人件費の概算管理
  • 企業独自の休暇設定も無制限で可能
  • 長時間労働の際のアラート機能
  • 専門スタッフによる無料導入サポート
  • 電話、メール、オンラインで随時相談可能

jinjer


jinjerは、低コストながらデータの一元管理と丁寧なサポート体制が特徴のクラウド型の勤怠管理システムです。電話・チャット・Webなど企業の都合に合わせ導入時の設定サポートを行ってくれます。

初めてのシステム導入や、担当者が導入の際の時間を割くことができない場合などには、親身で手厚いサポートは魅力的です。jinjerの給与計算システムと連携が可能で、労務管理や経費精算などさまざまなサービスが提供されています。
<jinjerの特徴>

  • 電話、チャット、Webで導入時の設定を徹底サポート
  • シフトの作成、募集
  • 休暇残日数の管理
  • 年次有給休暇設定
  • 予実管理も可能
  • 企業独自の特別休暇のカスタマイズ可

給与計算ソフトと併用することで効率UP

給与計算ソフトと併用することで効率UP

勤怠管理システムで自動集計されたデータは、給与計算システムと連携することができれば、面倒な給与計算業務も効率化させることができます。勤怠管理システムを提供する企業には、jinjerのように給与計算システムも提供している場合もあります。また、既に給与管理システムを導入されている企業は、その給与計算システムと導入を検討している勤怠管理システムに互換性があるのかどうかを確認しましょう。

以下ページでは、マネーフォワード クラウド給与・給与奉行クラウド・PCA給与・やよいの給与明細など、おすすめの給与計算システムを紹介しています。

おわりに

勤怠管理システムの導入は、簡単にシフト作成ができたり、勤怠データを自動集計できるなど、あらゆる場面で自社の業務フローや勤怠管理の大きな改善につながります。

勤怠管理システムの利用を考えているサービス業の経営者や管理者は、ぜひ今回紹介した勤怠管理システムの利用を検討してみてはいかがでしょうか。