「ファクタリング」とは?即日利用や違法性、サービスの選び方について徹底解説

企業の売掛債権を第三者であるファクタリング会社が買い取って債権回収を行うファクタリングについて詳しく解説します。売掛金を現金化してすぐに資金調達したい経営者は必見です。

金子 哲也

[監修者]
アルファノート株式会社
貸金業務取扱主任者

キャッシュレス決済サービスを提供するアルファノート株式会社の役員として従事する傍ら、2018年に自社の貸金業登録を主導後、事業融資を行うファイナンス事業部を立ち上げる。現在は、ファクタリングサービス・貸金業務に加え、新たに信販事業を立ち上げるなど、多岐にわたる事業に従事している。

中小企業の経営者や個人事業主を悩ませる資金繰り問題の解決方法として、近年注目されているのがファクタリングサービスです。未回収の売掛金による黒字倒産のリスクを軽減し、資金調達にも活用できるファクタリングとはどういったサービスなのか、徹底解説します。

ファクタリングとは?

ファクタリングとは?

ファクタリングとは、企業が抱える売掛債権を第三者が買い取る金融サービスのことです。取引先との決済期日より前に現金化することが可能になるため、すぐにでも手元資金が必要な場合の資金調達手段として利用されています。

欧米から始まり発展してきたファクタリングは、国内でも資金調達手段の一つとして急成長しているサービスです。

企業間取引では、商材やサービスの受け渡しと同時に現金決済するケースはほとんどありません。売り手側は売掛金を売上債権として計上し、買い手側は買掛金を買入債務として計上した後、一定の期間を置き代金を支払う企業間信用という取引の方法が一般的です。

この取引方法には、買い手側に支払いの遅れが生じるリスクがあります。特に中小企業や個人事業主の場合は、売掛金が回収できない期間が長引いたり、貸倒れになったりした場合、資金繰りに多大な影響が出るケースが少なくありません。

そこで、債権を早期に現金化して資金を調達するためにファクタリングという方法が用いられます。ファクタリングの場合、売掛債権を譲渡した後に買い手側が債務不履行となったとしても、売り手側が責任を取る必要はありません。

手形特有のリスクである不渡りや有価証券の紛失、詐欺等を避けるために、企業間取引においては、手形よりも売掛金が主流となりつつあります。それに伴い、ファクタリングサービスの需要も拡がりをみせています。

ファクタリングには売掛債権の買い取りのほか、保証を付けられる保証ファクタリングというものもあるため、取引先の事情で売掛金を回収できないという事態に備える使い方もできます。

ファクタリングの種類

ファクタリングは債権の種類などにより、おもに下記の7つに分けられます。

買取ファクタリング

企業の売掛債権をファクタリング会社が買い取り現金化する、一般的なファクタリングサービスが買取ファクタリングです。この買取ファクタリングには、ファクタリング契約を行う関係企業の数により、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2種類があります。それぞれの違いは後述しますのでそちらをご参考にしてください。

保証ファクタリング

売掛金をファクタリングサービス会社が買い取ってくれる買取ファクタリングに対し、売掛金が貸し倒れるリスクがないようにファクタリング会社が保証してくれるシステムが保証ファクタリングです。

短期的な資金調達ではなく、未払いを回避することが保証ファクタリングの目的です。信用取引における代金回収の不確実性を解消するため、ファクタリング会社が徹底した与信管理を行ってくれるメリットもあります。

一括ファクタリング

一括ファクタリングは、従来一般的であった決済方法の手形に代わる決済手段です。手形では取引先側が発行するのにさまざまな事務手続きが必要です。印紙代などのコストも発生します。売り手側にとっては、支払サイト(猶予期間)があるために現金化までに時間がかかることや、買い手の倒産・不渡りが発生した場合に売掛金の回収ができなくなるリスクもあります。

そこで手形に代わる決済方法として登場したのが一括ファクタリングです。銀行が売掛債権を買い取り、取引先からの売掛金回収を行います。

決済業務は銀行が一括ですべて行い、万が一取引先が売掛金を支払わない事態になったとしても、ファクタリングサービスの利用者である売り手側が負担することはありません。なお、銀行ではなく、ファクタリング会社が行う3社間ファクタリングを一括ファクタリングと呼ぶ場合もあります。

国際ファクタリング

国内の輸出業者が海外の業者と取引をする際に、売掛金を確実に回収するためのサービスが国際ファクタリングです。ファクタリングサービスの利用者である売り手側と取引先の買い手側に、日本のファクタリング会社のほか、海外のファクタリング会社が介在し、お互いに協力して輸出債権を保証します。

医療ファクタリング

医療ファクタリングには、診療報酬ファクタリング、介護報酬ファクタリング、調剤報酬ファクタリングの3種類があります。診療報酬・介護報酬・調剤報酬は、医療機関がサービスを提供してから入金されるまでに通常2~3ヵ月程度かかります。この間、人件費をはじめとする固定費の支払いに苦慮する医療機関は少なくないのです。

医療ファクタリングを利用することで、債権の額面の80%程度を現金化して早期に受け取ることができるため、医療機関はキャッシュフローの改善を図ることが可能になります。

商品在庫ファクタリング

企業が持つ在庫商品を債権として買い取り、資金化するサービスが商品在庫ファクタリングです。余剰在庫や滞留在庫を売却して資金に変えることができ、在庫の管理コストを抑えられるメリットがあります。

家賃収入ファクタリング

家賃や管理費など不動産所得者が将来的に得られる収入を対象としたファクタリングが家賃収入ファクタリングです。場合によっては不動産会社が得る仲介手数料もファクタリングの対象となります。家賃収入ファクタリングの場合は、物件の立地をはじめ家賃収入に遅れが生じていないかどうかなどが審査の対象となります。

2社間ファクタリング・3社間ファクタリングとは?

買取ファクタリングには、2種類の契約形態があります。

  • 2社間ファクタリング…お客様 × ファクタリング会社の取引
  • 3社間ファクタリング…お客様 × 売掛先企業様 × ファクタリング会社の取引

2社間ファクタリングとは

2社間ファクタリングとは、ファクタリングを利用して資金調達をしたい利用者とファクタリング会社での契約になります。

おおまかな流れは以下の通りです。

  1. ファクタリング会社が利用者の売掛債権を買取る
  2. ファクタリング会社が利用者の口座へ買取金額を振り込む
  3. 実際に取引先から利用者への入金がされたらファクタリング会社へ支払う

このように2社間ファクタリングでは、利用者とファクタリング会社のみの契約になります。ファクタリング会社が取引先とコンタクトをとることはありません。よって、売掛先の企業に知られずに資金調達が可能となります。

3社間ファクタリングとは

3社間ファクタリングでは、利用者とファクタリング会社、そして取引先の3社でファクタリング契約を行います。

おおまかな流れは以下の通りです。

1利用者とファクタリング会社が契約を結ぶ

2ファクタリング会社が取引先とコンタクトをとる

3承認が得られたらファクタリング会社と取引先が契約を結ぶ

4利用者がファクタリング会社に売掛債権を売却

5ファクタリング会社が利用者に対して手数料を引いた売掛代金相当額を支払う

6取引先がファクタリング会社へ売掛金を支払う

このように取引先が直接ファクタリング会社へ売掛金を支払うため、利用者に回収義務がないことが特徴です。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの大きく異なる点としては、2点あります。

債権譲渡の通知の有無

3社間ファクタリングの場合、事前に取引先の承諾を得ることがあげられます。取引先に債権譲渡を知らせることになるため、包み隠さず透明性を担保するという考え方もできますが、場合によっては取引先との関係性に影響が出る可能性があります。

手数料

3社間ファクタリングと2社間ファクタリングを比べると3社間ファクタリングの方が手数料が安い傾向にあります。これは、ファクタリング会社が背負う売掛金の回収リスクが関係しているためです。

3社間ファクタリングの場合、ファクタリング会社が取引先へ直接代金の回収を行うため、売掛金の未収リスクを下げることができます。一方、2間社ファクタリングの場合は、利用者が売掛金を回収しファクタリング会社へ支払いを行います。その際、利用者がファクタリング会社に売掛金を引き渡す前に利用してしまうというリスクがあるためです。このリスクの差が2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの手数料に影響しています。

2社間ファクタリングのメリット・デメリット

2社間ファクタリングのメリット・デメリット

2社間ファクタリングのメリットとデメリットにはどんなものがあるのでしょうか。

2社間ファクタリングのメリット

取引先に知られずに資金調達が可能

2社間ファクタリング最大のメリットは、3社間ファクタリングとは異なり、取引先に知られずに手続きが完了させられることです。取引先に不安やネガティブなイメージを持たれる事を回避できるため、取引停止や取引縮小の恐れがありません。秘密重視の資金調達に向いています。

すぐに現金化ができる

2社間ファクタリングは、資金調達までのスピードが速いのが特徴です。取引先の承認不要で権利譲渡までの工程が少ないため、最短即日で現金を手にすることが可能です。いち早く資金調達をしたい場合には2社間ファクタリングが向いています。

償還請求権が発生しない

2社間ファクタリングでは、償還請求権は発生しません。万が一、取引先が倒産して売掛金が回収できなかった場合でも、ファクタリング会社から受け取った現金を返還する義務はありません。

2社間ファクタリングのデメリット

手数料が高い

2社間ファクタリングは、3社間ファクタリングと比較して手数料が高く設定されています。相場としては、

・2社間ファクタリング手数料の相場…10~30%
・3社間ファクタリング手数料の相場…1~10%

以上のようにかなりの差があります。手数料が高い理由は、ファクタリング会社にとって2社間は3社間よりも未回収リスクが高いためです。2社間ファクタリングでは償還請求権もなく、資金回収不可能のリスクもあるため、割高に設定されている手数料は当然といえるでしょう。

審査が厳しい

2社間ファクタリングは、3社間ファクタリングと比べて審査に通りづらいデメリットがあります。手数料が高い理由と同様、3社間ファクタリングと比較して売掛債権未回収リスクが高いためです。

2社間ファクタリングの場合は取引先が参加しないため、利用者から提示のあった資料のみで、買取る売掛債権の存在確認をしなければなりません。ファクタリングの審査は、取引先の信用力の審査です。あわせて利用者の資金の動きも含めて審査されますので、まずは資料をしっかりと揃えることです。

銀行は2社間ファクタリングを提供していない

銀行や銀行系の大手ファクタリングサービスが扱うのは、基本的に3社間ファクタリングのみです。国内には数多くのファクタリング会社がありますが、中にはファクタリング会社を装った悪徳闇金業者もあります。利用の際には、ファクタリング会社の見極めも大切です。

2社間ファクタリングは違法?

2社間ファクタリングは違法?

需要の拡大とともに、ファクタリングの市場は急速に広がっています。売掛債権の買取を行うのに貸金業の登録は必要ありませんが、融資と同等の条件で契約を迫るのであれば貸金業の登録が必要となります。しかし、違法行為やファクタリングを装った貸付を行う悪質な業者も増加傾向にあり、金融庁でも注意を促しています。トラブルを避けるためにも、ファクタリング会社を選ぶ際は慎重に判断する必要があります。

例えば、契約書の締結がないファクタリング会社は論外です。また、印鑑や通帳を預かることなどもありえないことです。そのような業者とは絶対に取引してはなりません。

2社間ファクタリングの取引の流れ

2社間ファクタリングの取引の流れ

1取引により売掛金が発生

2ファクタリング会社に申込み

3ファクタリング契約の締結

4ファクタリング会社から利用者へ買取金額の支払い

5売掛金の支払期日に売掛先から利用者へ入金

6売掛金をファクタリング会社へ支払い

72社間ファクタリング終了

2社間ファクタリングの流れで注意すべき点は返済です。取引先から売掛金が支払われても売掛金の権利をファクタリング会社へ譲渡しているわけですから、自社の売上とはなりません。2社間ファクタリングでは、返済までの責任をしっかりと理解しましょう。

2社間ファクタリングサービスの選び方

2社間ファクタリングサービスの選び方

2社間ファクタリングで資金調達を行いたい場合、数あるファクタリング会社の中からどの会社を利用するかは非常に重要です。以下のようなポイントを注視しながら選ぶのがおすすめです。

償還請求権の有無の確認する

ファクタリングは売掛債権を買取るサービスです。貸付ではないため償還請求権は発生しません。万が一取引先が倒産して売掛金を回収できなかったとしても、ファクタリング会社には企業に支払った現金を回収する権利はありません。

にもかかわらず、償還請求権があると説明するファクタリング会社は絶対に利用してはなりません。

手数料を確認する

2社間ファクタリングの手数料は、10〜30%が目安です。目安以上の手数料を提示された場合は、悪質なファクタリング会社の可能性があります。手数料は、譲渡金額・取引先の信用度・利用回数などさまざまな要素で決定します。必ず公式サイトで確認し、見積りを依頼するようにしましょう。

資金調達におすすめのファクタリングサービス5選

資金調達におすすめのファクタリングサービス5選

安心でおすすめのファクタリングサービス会社を5社ご紹介します。それぞれのメリットとデメリットも掲載しましたのでご参考にしてください。

GMO BtoB 早払い

GMO BtoB 早払い

インターネット事業大手のGMOの系列の会社によるサービス「GMO BtoB早払い」の強みは、「1.0〜10.0%」と業界最安値級の手数料です。また、高額の債権でも審査終了から最短2営業日という短い期間で入金可能な点です。サイト上にある簡易シミュレーターで、利用前に大まかな審査額を知ることができるため便利です。

ただし、GMO BtoB早払いは個人事業主の利用はできません。個人事業主の場合は、同じくGMO運営のFREENANCEを利用するとよいでしょう。

メリット

  1. インターネット事業大手GMOグループのサービスで安心
  2. 最短2営業日で入金可能
  3. 短い入金期間に対し、下限300万円以上のため高額取引が可能

デメリット

  1. 個人事業主の利用は不可
  2. 少額取引はできない

MSFJ株式会社

MSFJ株式会社

MSFJは2017年設立と運営歴は浅いながら、業界最安水準の手数料を提供しているため人気のあるファクタリング会社です。手数料は1.8%~。100万円までならネットでの申し込みも可能です。建築・建設業向け斡旋サービスやコンサルティング業も行っており、建設業にはおすすめのファクタリング会社といえます。

メリット

  1. 手数料が安い
  2. 利用金額に合わせてプランを選べる
  3. 他社からの乗り換え割あり

デメリット

  1. 面談が必須

アクティブサポート



アクティブサポートは東京都池袋に拠点を置くファクタリング会社で、住所をしっかり公開しているためまずは信頼性のある会社といえるでしょう。他のファクタリング会社で審査に落ちてしまった…という場合でも、受け皿となってくれるケースが多いようです。ただし、手数料の詳細は記載しておらず、最低額も最高額も不明です。必ず見積もりを出してから他社と比較検討するようにしましょう。

メリット

  1. 2社間、3社間どちらも対応
  2. 最短即日の資金調達可能
  3. ノンリコースでの契約
  4. 個人事業主もOK

デメリット

  1. 手数料が高い

QuQuMo online



QuQuMo online(ククモオンライン)は、株式会社アクティブサポートによって運営されているオンライン完結型のファクタリングサービスです。電子契約の導入で最短2時間で契約締結・資金調達が可能です。簡易審査に必要な書類は、請求書と通帳の2点のみ。
入金までのスピード感と手数料は、他社のファクタリングサービスと比較してもトップクラスです。運転資金がすぐに必要な事業者の方におすすめです。

メリット

  1. 手数料がリーズナブル
  2. 個人事業主もOK
  3. オンライン完結による素早い資金調達

デメリット

  1. 2社間ファクタリングのみ対応
  2. 土日祝日の振込は不可能
  3. インターネットに慣れていない人には不向きなオンライン完結

チョウタツ王



チョウタツ王は、Limited Members Associate 株式会社が運営するファクタリング会社の一括見積りサービスです。ファクタリングサービスの一括査定をして、好条件で確実なマッチングをサポートしてくれます。24時間365日対応で、一括査定量は無料です。

多くのファクタリング会社の中から信頼できる業者を選ぶことは、想像以上に難しいものです。チョウタツ王を利用すれば、業界内でも信頼性の高いファクタリング会社を厳選しているため安心して依頼ができます。複数社から連絡が来るのは面倒、と感じる方には不向きかもしれませんが、それ以外のデメリットはなくおすすめのサービスです。

メリット

  1. 一括査定で相見積もりの手間が不要
  2. 相見積もりのため好条件になりやすい
  3. 即日対応も可能

デメリット

  1. 一括査定系のため多数の業者から連絡が来る
  2. 運営開始から間もないためクチコミが少ない

おわりに

いかがでしたでしょうか。この記事では、ファクタリングについて2者間ファクタリング、3者間ファクタリングのメリット・デメリット、注意点、今後の見通しについてなど詳しく解説しました。経営者の皆様にとって、どのような経営状況でファクタリングを活用できるかなど参考になれば幸いです。

監修者からのコメント

資金調達の手段としてファクタリングを検討する企業は、現金化までの速効性をメリットと考えているケースが多いでしょう。必要な書類の準備や審査完了までの期間は、金融機関による融資の比ではありません。また、決算書上における借入金(負債)として計上せずとも良いのも好影響と言えます。一方で、ファクタリング業は免許も登録も不要で始められる事業です。(本記事掲載時点)資金の速効性だけに目を奪われずに、事業者の選定には十分に検討を重ねると良いでしょう。