個人サロンで成功するために必要な経営戦略とは?

国内では1980年代に初めて専門サロンが創設されたネイル業界。
その歴史は浅いながらも、現在では女性に人気がある美容サービスです。また、エステティックサロンも同様で、バブル崩壊前から1990年代の国内の経済向上期に沿って、飛躍的な進歩を遂げている業態です。

最近は、ネイルサロンやエステサロンで使われる器具や素材に、様々な最先端技術が採用されています。サロンを利用するユーザー層の低年齢化など、需要の増大に併せて市場全体が活性化しています。

技能検定が存在しながらも、無資格無免許で開業可能なネイルサロンやエステサロンは多くの経営ニーズが存在しますが、オープンしても短期間で廃業してしまう店舗も少なくありません。

小さな個人サロンが開業後、どうのようにして大手サロンに勝って行くか、下火になった売上げを元通りから更に向上させるにはどのような意識が必要なのか考えてみましょう。

今回の記事では下記の2点について、解りやすく説明します。
現在サロン経営をしているオーナーの方々は是非参考にしてください。

個人サロンが大手サロンに勝つための経営戦略

個人サロンが大手サロンに勝つための経営戦略

多くのネイルサロンやエステサロンを運営する大手サロンと、個人事業主や小規模な環境で運営するサロンとでは何が違うのでしょうか?

「年間売上げ」や「顧客数」の違いは勿論、決定的に違うのは施術を行う「エステティシャン」と「ネイリスト」の人数です。大きなサロンは、施術を行うスタッフの数が個人運営サロンと比較してとても多いことが特徴です。

大きなサロンは固定客がつきにくい?

大きなサロンは固定客がつきにくい?

20台の施術台に20人のエステティシャンやネイリストが配属される大手サロンでは、約2時間の施術を同時に20名受け入れることができます。

一方、1人で経営している個人サロンは、施術台は2台あったとしても2時間の施術を受け入れることができるのは1名のみです。
個人サロンよりも大手サロンの方が、単純計算で20倍の売上げをもたらすことができます。

ただし、大手サロンは個人サロンの20倍の売上げがあったとしても、サロンの立地や施設環境によって莫大な支出があるという点を考慮しなくてはいけません。

更に技術的な面を考えた時に、エステティシャンやネイリスト全員が同一のセンスと技術を持ち合わせているわけではありませんよね。

また、施術を行うスタッフとユーザーとの相性も、店舗を継続的に利用してもらう上で重要なポイントです。大手サロンは施術スタッフの入れ替わりが多いため、店舗として顧客を固定化することが難しいとされています。大手サロンにおける固定客の割合は10%程度になるのではないでしょうか。

一般的に、ネイルサロンやエステサロンを体験しリピーターにならなかった理由は、以下の3点と言われています。

・接客が個人のニーズに沿わなかった
・施術料金は安かったが、技術的な面で不満があった
・個人的に相性が良くなさそう

大手サロンに来店するユーザーのタイプやニーズは様々ですが、俗に言われる「ふんわり思考」のユーザーが多いと想定されます。

・友人がエステに通っているから
・雑誌で綺麗に仕上がったネイルの写真をみたので試してみたかった
・友人の結婚式があるので、その時だけは爪先まで可愛くしたい
・芸能人の美顔 / 小顔に興味があったので試験的にキャンペーンに参画してみた

大手サロンには、上記のような「ふんわり」とした受動的な動機で来店されるユーザーが多くを占めていると思われます。
雑誌媒体などのクーポン、キャンペーンや期間限定割引などの文言に便乗するタイプのユーザーです。

それとは反対に、しっかりと明確な施術理由があるユーザーもいます。

・健康維持のため
・高齢になっても引き締まった艶がある美しいボディを保ちたい
・マニキュアやペディキュアの学習のために
・モデル業を営んでいるので脱毛は必須

能動的で強い目的意識を持っているユーザーは、技術力が高く自分に合う担当者を見つけようと言う意識が高い傾向にあります。

個人サロンには大手サロンとは違うメリットがある

個人サロンには大手サロンとは違うメリットがある

個人経営のサロンは、「オーナーの好み」を前面に際立たせられる点が最大の特徴と言えます。店舗や売上げは大手サロンと比較にならない程小規模であっても「ピンポイント」でユーザーから好まれる事が多々あります。

・サロンオーナーの人間性
・高い技術力
・清潔な施設管理
・ほど良い距離感
・他ジャンル美容関連の情報供給能力

上記のような「オーナーの特性」が潜在としてあると、オーナーと同じような質の高いユーザーから支持を得る事ができます。
更にそのような人間性に共感したユーザーが、サロンの素晴らしさを口コミで広げて行くことは良くあることです。

個人サロンを経営していると、質が高いユーザーからの情報提供を受けることができ、違うレベルへ自分自身を高く成長させることができます。
大きな店舗の中の一従業員ではなく、個性や技術を磨くことで、更なる可能性を広げることができます。

個人サロンを流行らせるために大切なこと

個人サロンを流行らせるために大切なこと

前項ではスタッフとユーザーとの関係性の大切さについて説明しました。
経営を更に右肩あがりにするためにはサロン運営における戦略が必要です。

本項では、「施術前」と「施術中」、「施術後」に分けてポイントを説明します。

「特別な存在である事」を自然に伝える「施術前」

ほぼ全てのサロンは室内で施術が行われます。

完全個室なのかカーテンなどの仕切りをしているだけか、などの違いはあっても施術中はプライベートな空間にスタッフとユーザーが2人だけになります。
このお出迎えからお見送りまでの限られた時間で「貴方は特別な存在である」ということをいかに伝えるかがポイントになります。

ユーザーはその特別感を味わうことで心地よさを感じ、「もう一度この特別感を体験したい」という気持ちと共にリピートへ繋がっていくはずです。

徹底した顧客分析でプラスαのサービスを提供する「施術中」

例えば毎週10名の常連が来店すると仮定した場合、それぞれに合わせた10通りのメニューが必要になります。
これは、来店した時期の体調や気分を分析し、それぞれの施術内容をアレンジすることでプラスαのサービスを提供する、という事です。

また、施術中に日常ケアやプライベートなことについてなど、コミュニケーションをとることでユーザーにとって唯一無二の施術師になることができます。

柔らかい角度でお客様を主役にする「施術後」

ネイルサロンやエステサロンでは、1ヶ月〜2ヶ月に1度程度のスパンで来店するユーザーが多いと思います。

来店しない期間中は定期的に更新するブログやSNSに「施術レポート」を掲載するなど、忘れられないようにすることが大切です。

また、「〇〇社のボディクリームを次回来店時に無料でお試しいただけます」など、次回来店時の小さなギフトを用意することもリピートしてもらうための重要な戦略てす。

個人サロンの経営に失敗した時のマインドセット

個人サロンの経営に失敗した時のマインドセット

個人サロンを経営している方の中には、順調に経営を維持していた時期から一転、経営難になってしまった経験がある方も多いと思います。

どのような事業でも、永遠に右肩上がりで順調な店舗はほとんど存在しません。どこかで高い壁にぶつかり失速を余儀無くされてしまう事は必ずあります。

経営が上手く行かず落ち込んだ時には「自分自身のマインドの持ち方」がとても大切です。
そうは言っても、現実的に資金がショートしていたり、来店ユーザーの数が目に見えて減少してしまったら大らかには居られません。

そのようなときは現実を現実として受け止め、明日に向かって以下に紹介する3つの事を挑戦してみて下さい。

①今、自分自身がするべきことを見つけ出し書き留める
②そして、実際にできることから実測し、成功と失敗に分類する
③最後に成功した事例だけを積み重ねて、以前の良い時期の景気を見習うような心構えで再挑戦する

この3つの項目は、自分自身が既に出来ることを繰り返すだけという内容です。目新しい挑戦ではなく、今まで淡々と積み上げてきた「出来ること」を実行することが、現状を打破できる一番の近道だと言えるでしょう。

人は時に同じ事の繰り返しがパターン化されて、前進していないのではないかという錯覚に陥ってしまいがちです。
実はルーティンを繰り返すことは、経営的な現状を維持するにはとても大切な事です。この「繰り返しの積み上げ」を基盤として、更なる経営改革や拡張が出来ることを忘れてはいけません。

経営的スランプか立ち直るための戦略とは

経営的スランプか立ち直るための戦略とは

前項で紹介した「自分の人間性と技術を商品として提供する」事は、確実にユーザーに価値ある新しい経験を提供することができます。

では、何らかの理由でユーザーが離れ、営業不振になってしまった場合どうすれば良いのか。本項では個人サロンを立ち直らせるための物理的な戦略を紹介します。

【新しい企画を考案し、新規顧客層獲得のために資金を調達する 】

既に離れてしまったユーザーを無理に追うことはせず、新規顧客獲得に向けたキャンペーンを起案します。そのキャンペーンを実施する際の費用を算出し、金融機関へ融資の依頼をしてみましょう。

開業当初から経営実績がある事が前提ですが、オーナーと業態のポテンシャルを伝えることができれば、100万円以上の融資を受けられることもあります。

キャンペーン告知はLINE@やFacebookなど無料で拡散できるSNSを利用し、自分自身のサロンの売りやメリットをしっかり伝えましょう。

新しい事を実行しながら、昔から繰り返されたルーティンをコツコツと実行するという戦略が、経営的スランプから立ち上がり、走り出すための原点になるでしょう。

まとめ

個人ネイルサロンやエステサロンにおける「経営戦略」についてご紹介しました。

戦略的に経営を上向きにするためには、信頼できる外部パートナーや助言者を作ることも大切です。

自信がある独自サービスであっても、第三者からのから情報や体験談を吸収できる柔軟な感覚と、不安定な経営に陥ってしまった時は、力強いマインドで斬新な企画性を掲げて欲しいと思います。

戦略なくして大きな発展はありません。どんな些細な戦略であっても必ず未来の自分自身に戻ってくることを深く感じながら、日々のサービスに徹して欲しいと願っています。