起業・開業・独立するには何が必要?知っておきたいお金の話【税金編】

デスクワークを行う人

法人の場合でも個人事業の場合でも、起業するにあたっては税金の知識が必要不可欠です。特に、会社員を辞めて起業した場合は税金の納付形式が大きく変わるため、必ず事前に知識を仕入れておくようにしましょう。
故意ではなくても、税金の納付が遅れたり、誤った手順で納付したりすると違法行為とみなされてしまう場合があるため、注意が必要です。
そこで今回は、起業した場合に納めるべき税金についてご紹介します。

起業後に納めるべき税金とは?

起業後は個人・法人の別を問わず納税の義務が生じますが、税金の種類が異なります。
まず、起業後に納税義務が生じる税金の種類について見ていきましょう。
キーボードのTAX

個人事業の場合

個人事業の場合、気をつけねばならない税金には以下のようなものがあります。

・所得税
・消費税
・個人事業税
・個人住民税

法人の場合

法人の場合、個人事業主と同じく所得税が課税されますが、その他にも法人税などを納める必要があります。

・所得税
・消費税
・法人税
・法人事業税
・法人住民税

個人事業・法人両方にかかる税金

従業員を雇う場合は、個人・法人のいずれの場合も「源泉所得税」の納付が必要です。
会社員時代は「天引き」という仕組みで勤務先が自動的に税務処理を行ってくれていましたが、経営者の立場になった場合は、従業員の税金もまとめて納付することになります。

また、ご自身が所有している土地で新規事業を行う場合は「固定資産税(償却資産税)」の納付が必要となります。

確定申告の時期や方法は?

確定申告について

確定申告とお金と電卓
個人事業・法人いずれの場合も、必ず行わねばならないのが「確定申告」です。

確定申告とは、前年1年間の利益と支出を計算した上で税額を算定し、納めるべき税金を申告・確定することをいいます。

課税対象期間は、個人事業主場合は毎年1月1日から12月31日まで、法人の場合は会社設立の際に課税対象となる期間を決めることができます。
申告期間は祝日などによって変動することもありますが、毎年2月16日から3月15日頃までが設定されています。

青色申告と白色申告の違いは?

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
青色申告は1年間の収支を正確に帳簿に記録し、取引証明書類を管理・保存するなどの作業が必要です。一方、白色申告はその記帳などの作業がとてもシンプルなことが特徴です。
れだけを見ると、手間がかからない白色申告のほうを選びそうになってしまいますが、青色申告のほうが白色申告に比べて、税務上さまざまな特典を受けることができるのです。

起業家必見!青色申告のメリットとは?

では、青色申告を行うことによって得られるメリットとは、一体どのようなものがあるのでしょうか?
代表的な特典について見ていきましょう。

個人・法人共通で受けられる特典

■赤字の繰り越し
個人事業場合は3年間、法人の場合は9年間、赤字を繰り越すことができます。
単年度決算で見れば損失のほうが上まわっていても、次年度の利益と合わせることにより赤字を相殺することができます。

■少額減価償却資産の特例
こちらは個人事業主と、資本金1億円以下の法人を対象とする特例です。
単価30万円未満のものについては、その事業年度の経費として一括で処理できます。
例えば28万円のパソコンを買った場合は、全額をその年の減価償却費として経費計上できることになります。

個人事業主が得られる特典

■青色申告特別控除
複式簿記で貸借対照表を作成した場合は65万円、簡易簿記で帳簿作成した場合は10万円を、利益から控除できるという制度です。

■青色事業専従者給与
家族経営の場合、家族に支払う給与を「専従者給与」というかたちで経費として計上することができます。

■貸倒引当金として計上

売掛金や貸付金などの売掛債権・金銭債権が回収できない場合、貸借対照表に計上されている売掛金の5.5%を貸倒引当金繰入額として必要経費に計上することができます(金融業の場合は3.3%)。

おわりに

今回は、個人・法人で起業した場合の税金についてご紹介しました。
個人事業主と法人では毎年納めるべき税金の種類が異なりますが、いずれの場合も青色申告や白色申告などの「確定申告」は、事業主であるかぎり毎年義務づけられています。
青色申告を行うには、収支の帳簿記録や、取引証明書類の管理などの細かな作業が必要です。しかし、青色申告には白色申告では得られないさまざまな特典やメリットがあるため、法人として起業する方はもちろん、特に個人事業主の方はなるべく青色申告をすることをおすすめします。