開業医の手取り年収の平均は?開業前に気をつけたいことや開業のメリット

開業医の手取り年収の平均

勤務医として働く方の中にも、将来は開業医になりたいと考えている方が多くいらっしゃるでしょう。では、医師が自ら開業することで、手取り年収や働き方がどう変化するかご存知でしょうか。
ここでは、クリニックなどを開業することで得られるメリット・デメリットと、開業の際に注意したいポイントをご紹介します。開業医の平均年収も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

開業医のメリットとは?

勤務医の中には、長時間勤務や人間環境のストレスから抜け出したいと考えている方も多いでしょう。そこで選択肢に上がるのが、クリニックなどを設立する開業医という働き方です。
開業医になることで得られるメリットを具体的に見ていきましょう。

理想的な医療を届ける

理想的な医療を届ける
医師はそれぞれ自分の診療スタイルを持っています。経験を積むほど、一人ひとりに向き合った診察や先端技術を活かした医療、漢方を重視した処方など、自分のこだわりや強みを活かした診療が可能になるでしょう。
しかし勤務医の場合、病院側の診療ポリシーや医師同士の人間関係にも配慮しなければならず、不自由さを感じるケースがあります。
開業するメリットは、自分らしい理想の医療を届けられることです。診察にかける時間や導入する設備、処方に至るまで全て自分で決められます。
理想の医師像を具体的にイメージできるなら、開業を検討してみてもいいかもしれません。

収入は勤務医の約1.7倍

一般的に開業医は、勤務医より年収が約1.7倍高いと言われています。ただし、開業医の収入は、開業に伴って発生した借入金の支払いや将来に備えた貯蓄なども含めた、事業収入です。勤務医として貰っていた給与収入とは分けて考えなければいけません。

事業収入の場合、看護師の給与や光熱費などの直接経費の他に、交際費や車両費などの間接経費も申告できるため、ある程度の税金の知識があれば節税対策も可能です。
医師としてより経済的なゆとりを得たいなら、大きな年収アップも見込める開業医としての働き方を選択するのもいいでしょう。

高年収開業医になるために開業前に注意しておきたいこと

高年収の開業医を目指すためには、開業前の準備が欠かせません。少なくとも「開業スタイル・立地(競合)・開業資金」について念入りに調査し、失敗を避けるための綿密な計画を立てましょう。

開業スタイルの違い

開業スタイルの違い

開業スタイルは主に次の三種類に分けられます。

  • 戸建て開業…間取りや運営スタイルが自由に決められます。都市部だと、開業資金と運用資金が高額になりがちなのが注意点です。
  • テナント開業…人通りの多い場所が確保しやすく、最初からある程度の集客が見込めます。スペースがやや狭いこともあるので事前に確認することが大切です。
  • 事業継承…開業コストを抑えられる。競合の多さや周囲の評判など、周辺環境を念入りにチェックしましょう。

開業する形態にはそれぞれメリットとデメリットがあるので、予算や運営スタイルなどから考えることが大切です。

立地と競合の確認

いずれの開業スタイルでも、立地と競合を確認しておくことは非常に大切なことです。
集客を考えて東京などの人口密集地を選んでも、競合が多いと厳しい運営を強いられる可能性もあります。時間帯を変えて現地に何度か足を運ぶことで、人が多い時間帯や年齢層が見えてくるでしょう。
テナント型であっても「通路の奥にあり意外と見立たない」というケースもあるので、お客さんの目線で現地をチェックすることが求められます。

損益分岐点を計算する

損益分岐点とは、開業にかかった費用を開業後の売上が上回るポイントのことです。いくら儲けがよくても、初期費用が高く運転資金が高額だと利益が出ません。開業医は、こうしたお金の管理も自身で行わなくてはなりません。
人件費やローンだけでなく、診察や治療に欠かせない医療器具の買い替えやリース料なども計算に含め、利益を出せるかどうか慎重に判断しましょう。

開業医の手取り年収はどのくらい?

開業医の手取り年収は、勤務医に対して約1.7倍が一般的ですが、実際は診療科目によって大きく異なるようです。全体平均と、年収の高い診療科をご紹介します。

  • 開業医の平均年収:2,800万円程度
  • 眼科医:3,200万円程度
  • 耳鼻咽喉科医:3,000万円程度
  • 整形外科:2,900万円程度

いずれの診療科も患者一人あたりにかかる経費がほとんど発生しないため、患者数が増えるほど多くの収入が見込めます。収入を上げるためには、一日あたりの患者数を増やすことが重要だと言えるでしょう。

おわりに

開業医になることで、医師として独自のスタイルを確立するとともに、大きく収入を上げられる可能性も高くなります。
「お客さんは来てくれるだろうか」「利益を上げられるだろうか」など、心配はつきものですが、開業前にしっかり準備しておくことで失敗するリスクを下げることができます。
開業医と勤務医の違いを理解したうえで、理想とする医師像を実現するためには、どちらが向いているのか検討してみてはいかがでしょうか。