個人事業主必見!開業届けについて徹底解説

学生時代から夢だった起業、サラリーパーソンでありながら週末だけでもカフェを開業してみたい。日常の夢や希望を「開業」というスタートで叶えたいという人口が増えてきているように思いませんか?

難しい手続きが一切ない「開業届」を提出することで、暖めていたカフェの可愛いネーミングや、思いを込めた会社名を屋号とし、自分で商売を立ち上げることができるのです。
正しく開業し、正しく運営してゆく事が、あなたがお住まいの地域経済活性化を担うことになります。

この記事は・・・
①開業届とは何ですか?提出期限や注意点はありますか?
②開業届を提出するメリットやデメリットは何ですか?
③正しい開業には開業届提出が伴いますか?

上記のようなご質問への回答を一挙にご紹介します。

そもそも、開業届けって何でしょうか?

開業届ってなんでしょうか?

開業届とは「事業を開くために必要な税務所への申請書」の事を指します。
開業届を提出し、個人事業主となることで変わる点は主に以下の3点です。

  • あなたが希望する会社名(屋号)で銀行口座を開設することができる
  • あなたが好きなジャンルの仕事を立ち上げて、販売などの営業活動を法的に実行できる
  • 「会社」としてみられるので、一個人でありながら、公の組織機関として判断される

開業届を提出することで公的な事業として認められ、事業を始めることができます。

開業届とは何ですか?提出期限や注意点はありますか?

開業届の提出先と提出期限はどれくらい?

【注意することその①】・・・開業届は事業を開始してから30日(もしくは31日)以内に最寄りの税務署へ届け出る必要があります。ですが、開業届を提出しなくても法的に罰せられることはありません。
何らかの都合で提出を控えたとしても、開業して事業を始めることはできます。

開業届の提出手順は以下の通りです。
とても簡単ですのでご参考としてみてください。

    国税庁公式ホームページや所轄の税務署に設置している

  • 「開業届」を入手
  • 記載必要事項全てに記入
  • 所轄の税務署に持参もしくは、郵送で提出

この3点だけで開業届を提出したことになり、書面に不備が無い限り開業が認められる事になります。とても簡単ですよね?

準備する書類・書き方について徹底解説!

続いて開業届の書き方についてご説明いたします。
順を追って16の項目に書き込むだけですので、ゆっくりと間違いが無いようにすすめましょう。

引用元:国税庁公式ホームページ

開業届書類

(1)納税地の税務署名・提出日
開業届を提出する際の所轄の税務署名と、提出する日付を記入します。この箇所は全ての記載が終了して、提出のために税務署に行った際に書き込むのが良いでしょう。
但し、開業日から1ヶ月以内という規定がありますので、期間を過ぎないようにご注意ください。(過ぎてしまっても罰則などはありません)

(2)納税予定地・上記射顔の住所地・事業所等
納税地は、基本的に生活の拠点となるお住まいの自宅場所を示します。
住所地以外に、事業を営むための店舗や事業所がある場合は「事業所等」を選択して、その場所を納税地としても問題はありません。

(3)氏名・印・生年月日
本名と生年月日を記入し捺印します。印鑑は個人名でも屋号印でも構いません。

(4)個人番号
お手元のマイナンバーカードもしくは通知カードに記載されているナンバーを記入します。

(5)職業
あなたが選択した職業名を記入ください。あまり聞き慣れない職業ですと質問されるケースがあるので、応答できるようにしっかりとした職業認識を備えておきましょう。

(6)屋号
組織名や店舗名など、あなたが理想としていた屋号を記載ください。

(7)届出の区分
開業の場合は「開業」にチェックを入れ、その他は全て空欄になります。何らかの都合で他社から事業を引き継いだ場合、住所や氏名を記入します。

(8)所得の種類
不動産所得(収入)、農業(山林)による所得以外は事業所得を意味します。

(9)開業・廃業等日
あなたが開業したい日に特別こだわりがないのであれば、届け出を提出した日を記載します。
もし、誕生日や覚えやすい記念日にしたいという事であれば、その日を自由に記載する事ができます。

(10)事業所等を新増設、移転、廃止したい場合・廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合
こちらの項目は、新規開業の場合は記入不要ですので空欄になります。

(11)開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
開業する際、青色申告に関わる税金関係の書類を提出する際はチェックをいれましょう。

(12)事業の概要
開業する事業の説明を記載します。
「運送業」であれば「軽量・小物梱包物の運送」など、より具体的にどういった職業なのか解るように記載します。

(13)給与等の支払いの状況
専従者や使用人を雇用する予定がある場合に該当する内容を記載します。

(14)源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無
この箇所は源泉所得税の納期を年2回にまとめて行うことができる申請です。
毎月10日が納期期限ですが、細かく対応するのではなく、半年に1度ずつ納税することが可能になります。
希望する方は「有」にチェックを入れます。

(15)急所支払いを開始する年月日
開業時から従業員を雇用する場合、給与を支払う日を記入します。

(16)関与税理士
開業と同時に税理士と顧問契約をする場合は、顧問税理士名と住所・電話番号を記入します。開業の際に顧問税理士が不在の場合は空欄とします。

上記の通り、開業届の取得方法と書き方は難しいものではありません。
順番に従って記入してゆくことでスムーズに届出を完了することができます。

開業届を提出するメリットやデメリットは何ですか?

開業届を提出するメリットデメリット

【注意することその②】・・・開業届を申請する際に、2種類の申請形態があります。

1)白色申告・・・控除額が最高10万円

2)青色申告・・・控除額が最高65万円(※令和2年分からは55万円まで控除)

の2つです。申告に掛かる手間はどちらを申請しても、実はほとんど変わりません。

青色申告を採用して申請した場合、日々の入出金状態を把握しながら、入ってくるお金と出て行くお金、事業資金として蓄えておくお金の管理等、多少の経理的な観念や簿記に関する知識が必要になります。
決して取り組みが必須な事項ではありませんが、数字と付き合う時間が白色申告よりも増えることは確かです。
しかし、相応のメリットもあるのです。

青色申告メリットその①

65万円の特別控除、簡易簿記に10万円の特別控除があり、収入から差し引く事ができます。節税のために、貰いすぎた収入を減額して申請することができ、納税額を低くすることができるという事です。

青色申告メリットその②

事業収益や利益が多い年と赤字に終わった年など様々な結果に対応すべく、3年間繰り越すルールが適応されます。
過去2年間500万円の赤字であっても3年目に500万円の黒字があった際は、事業所得をゼロにすることが可能です。

青色申告メリットその③

お住まいの住居を事務所として、作業所として登録する場合、その家賃や電気水道などの公共料金が経費として認められます。

自宅以外に事務所を構えた場合は、その事務所家賃だけが経費として換算しますが、オフィスレスの時代には素晴らしい制度を活用することができるという訳です。

白色申告の場合はこの「家事関連費」が経費として認められていないので、細かく経費申請をすることができる青色申告の方が将来的に節税に繋がります。

青色申告デメリットその①

簿記や経理の知識経験が必要になります。
もしくは顧問税理士に依頼して月例の試算表を作成頂くことになります。
その月々の顧問契約料は様々ですが10,000円〜30,000円程度と想定ください。
あなたや親族、使用者が経理を担当する場合は、複式簿記で帳簿を整理する必要がありますので、予め能力給も含めた金額の給与配分に心がけましょう。

青色申告デメリットその②
申請書の届け出るタイミングによって開業が翌年にずれるケースもあります。
これは青色申告をする際、その年の3月15日(令和2年を除く)までに「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出する義務があるからです。
確定申告を跨ぐタイミングで申告する場合は要注意ですね。

正しい開業には開業届提出が伴いますか?

正しい開業には開業届提出が伴いますか?

(1)「物理的な開業」という概念

物理的な開業とは、前項でご紹介した開業までのスキームや開業届の種類と注意点など、物理的にあなたの屋号で開業するための「方法」を意味します。
法的な縛りは一切無いため、開業届を提出することなく事業をスタートする事ができるのは事実です。
また、事業運営途中で開業届を提出するケースもあります。

(2)「心情的な開業」という概念

心情的な開業というのは、何かの節目に、長い間愉しみにしてきた自分の会社を立ち上げるという夢を叶えたい、というような「主観」が伴う開業を意味します。

しっかりとした理念や哲学が各々の中に存在し、正式に社会から認められたい、他業種のプロフェッショナルとも付き合って行きたいというようなお考えがあるのであれば、正しく届出を提出して、開業する事をお勧めいたします。

いつでも取り下げることができる、廃業する機会はいつでもある、という考えで開業してしまうと、製品やそのクオリティが向上する事は無いでしょう。
日本、もしくは世界経済の中で羽ばたいて行きたいという決意があり、その思いが強くなるほど、仕組みを正しく活用することが必須になるはずです。

今回のコラムでは、開業届の提出期限、注意点、メリットデメリットなどについてご紹介致しました。
届出の記載方法は至って簡単な事がお解り頂けたと思います。
一つ一つ掘り下げて、希望開業日の3ヶ月ほど前からは提出書類を手元に置き、物理的な準備と心情的な心得を保つようにしましょう。

次回は「夜間飲食店の種別と必要な手続き」についてご紹介いたします。
飲食店の中でも特に、営業時間を17時以降と決めている事業者は必見です。