2021年店舗運営のキーポイントは「節約」!飲食店はランニングコストを抑え黒字化を

2021年店舗運営のキーポイントは「節約」!飲食店はランニングコストを抑え黒字化を

飲食店のランニングコストにはどのようなものがあり、どう節約できるのか。

飲食店経営を黒字化に導くためのキーポイントであるランニングコストや、2021年に利用できる助成金や補助金情報を詳しく解説します。

飲食店の経営で売上を増やすことと同じくらい大切なことは、ランニングコストをできるだけ抑えることです。

ただし、コストを抑えすぎて提供する商品の質が落ちてしまったり、サービスの質が落ちたりしてしまっては、売り上げの低下につながり本末転倒です。

お客様にご満足いただける食材やサービスは維持しつつ、黒字化するためのコストの節約について最新情報も交えながら解説していきます。

飲食店で発生するランニングコストとは?

飲食店で発生するランニングコストとは?

まずは飲食店の経営上、どのようなランニングコストが発生するのか整理していきます。どのような工夫をすれば無理なく無駄なコストを抑制できるのかを考えていきましょう。

飲食店のランニングコストとは

店舗を新しくオープンする際、開業準備のための初期費用をはじめ何かとお金が掛かるものです。

さらに、家賃・人件費・光熱費・食材などの仕入れ費用など店舗を営業していくために必要なランニングコストについて考えることがとても重要になります。

月々のランニングコストがどのくらい掛かるのか、数字をはっきりと把握していなければ、売上の予測も目標も立てることはできません。せっかく繁盛していても、まったく黒字化できないという事態も起こり得ます。

具体的にランニングコストの内容を挙げてみましょう。

・家賃
・水道光熱費
・修繕積立金
・食材、酒等仕入れ代
・厨房機器の保守契約費
・人件費
・従業員募集の求人広告費
・広告宣伝費・販売促進費
・トイレットペーパー等備品、消耗品 等

大きく負担になる人件費をはじめ、電気・ガス・水道などの光熱費、家賃や固定費など、継続的に必要な支出費用はすべてランニングコストです。

飲食店におけるランニングコストの相場

飲食店経営を黒字化するには、ランニングコストを踏まえて売上がどれほど必要かという「損益分岐点」を定めることが必要です。

おおよその目標としては、経常利益10%以上を目指すように考えるとよいでしょう。すなわち、ランニングコストの合計は売上の90%以下に抑えるということになります。

飲食店のランニングコストは、大きく変動費と固定費に分けられます。詳細を見ていきましょう。

<変動費>
原価・水道光熱費・販売促進費など、売上の変動により金額が変わる費用が変動費です。

<固定費>
家賃・減価償却費・支払利息・リース料・本部費・固定契約料など、売上の変動にかかわらず金額が変わらない費用が固定費です。

変動費の相場

変動費は全体の売り上げに対して60〜70%程度が目安です。

原価・・・約30%
料理原価、食材原価など。

人件費・・・約27%(合算)
パート・アルバイト従業員の給与、交通費、食費(まかない)、福利厚生費など。

水道光熱費・・・約5%
ガス代、電気代、水道代など。

販売促進費・・・約3%
広告宣伝費、販売促進費など。

その他・・・約5%
事務用消耗品、修繕費、通信費などの諸経費。

固定費の相場

固定費は全体の売り上げに対して15〜25%程度が目安です。

家賃・・・10%以下
賃料、共益費、売上歩合家賃などを合わせた費用。

人件費・・・約27%(合算)
正社員の人件費。

その他
初期条件・・・10%以下
減価償却費、支払利息、リース料などを合わせた費用。

飲食店運営の収支シミュレーション

上記の目安のパーセンテージを参考にし、実際に店舗の売上高からおおよその利益を算出する収支シミュレーションをすることおすすめします。

もし、シミュレーションで利益が上がらないという結果になれば、再度店舗のコンセプトや売上計画を見直していく必要があるということです。

どんぶり勘定は危険です。何度でも計画を見直してコストカットできる部分は切り詰め、再びシミュレーションし、利益があがる結果になるまで繰り返すことが非常に重要です。

コストカットが可能なランニングコスト

コストカットが可能なランニングコスト

利益を出すためには、売上を増やすことを考えることも重要ですが、それと同じくらい支出を減らすことも重要です。

ランニングコストは、工夫することで削減することは可能です。コストカットができるランニングコストを見ていきましょう。

電気料金

飲食店の光熱費は、見直しやすい項目といえます。近年、さまざまな企業が電力事業に参入し選択肢の幅が広がっています。

おすすめの電力サービス3選

ハルエネ電気



「ハルエネ電気」は、「店舗応援プラン」など法人向けのさまざまなプランが用意されているため、個々のお店に合った最適でリーズナブルなプランを選択することができます。

申込書の記入だけで利用可能です。工事費無料で立ち合いの必要もないので、忙しい方でも切り替えがしやすく電力サービスです。電気代の大幅な削減が見込めます。

ライトでんき



法人・個人事業主専門のライトでんきは、最も電力単価の高い「従量3段目」も割引が可能なため、使う電気量が多ければ多いほどお得になるという仕組みで飲食店に支持されています。

面倒な工事は不要で切り替えが可能です。テナントビルでの切り替えも可能なので幅広い業態から選ばれています。

Japan電力



Japan電力は、初期費用や設備費用0円で契約可能です。また、地域電力会社が所有する送電線をそのまま使用できるため、より低価格で電力共有を受けることができます。

Japan電力の最大の特徴は、電気資料量が多くなると1kWhあたりの料金が少なくなる、という点です。使えば使うほど、お得に電気共有を受けることができます。

インターネット広告

今や飲食店において最も重要な集客方法は、インターネットを活用する手法です。チラシなどの広告媒体も効果的ではありますが、広告費の削減をするならインターネットの利用が最も費用対効果が高いといえるでしょう。

しかし、集客効果が高いホームページを制作するとなると、それなりの費用が掛かります。「食べログ」などグルメサイトなどさまざまなネット媒体も活用できますが、おすすめは「Google マイビジネス」です。無料で掲載可能な上に、高い集客効果が見込めます。

保険

飲食店のための保険は、店の面積と補償金額によって掛け金が大きく変わります。補償額が最大1,000万円の保険に加入していれば、大きな損失が出たときにはたくさんの補償金が降ります。

ただし、補償金は損失額の分のみしか出ません。掛け金に対し、それほど大きな補償金は必要なかったというケースもよくあります。どれくらいの金額を補償してもらえれば良いのか、再度保険の見直しをすることもコスト削減につながります。

他にも以下のような保険の見直しが可能です。

<オプションの再検討>
保険のオプションとして、さまざまな特約を付けていることもあります。

例えば、火災や爆発事故の後片付けの費用を補償する特約や、店舗が復旧するまで仮店舗で営業するための費用を補償してくれる特約、営業再開時の宣伝広告を出すための費用を補償してくれる特約もなどもあります。

確かに安心ではありますが本当にそこまで手厚い補償は必要でしょうか?その分掛け金は高くなっているので、必要な特約のみに絞ってみることもおすすめです。

<不動産会社に勧められ入った保険>
出店の際に、テナントを扱っている不動産屋から「店舗総合保険」をおすすめされて加入していませんか?

不動産屋は保険の専門家ではありません。おすすめされた店舗総合保険の補償内容と掛け金が、あなたの飲食店に最適とは限らないものです。補償内容が広範囲で、高い掛け金がかかってしまっている可能性もあります。

不動産屋に保険をすすめられた場合はすぐに契約せずによく内容を確認し、他の保険とも比較して選ぶことが重要です。

もし、保険の見直しをしたい場合は、保険の代理店などで自分の飲食店ではどんな補償を選べば良いのか相談するとよいでしょう。適切な保険を勧めてくれるはずです。

キャッシュレス決済

飲食店での支払いは、キャッシュレス決済(クレジットカード、デビットカード、電子マネーなど)を利用したいと思っている消費者が急増しています。感染症等対策の意味でも必須のものとなりつつあります。

さまざまなキャッシュレス決済がありますが、すべて導入するとなると費用もかさみます。
なるべくコストを抑えたいなら、端末の初期導入費や決済手数料が抑えられるかどうか、という基準で選択しましょう。

まずは試しに導入してみたいという方には、比較的初期費用を抑えられるQRコード決済がおすすめです。

決済用のスマートフォンやタブレットがすでに用意できていれば、初期費用はそれほど掛かりません。導入する際には、決済手数料がなるべく低く設定されている事業者を選びましょう。

Airペイ



「Airペイ」は、クレジットカードや電子マネー、QRコードなど各キャッシュレス決済が利用可能な端末を初期費用0円で導入できます。

全ての銀行において振込手数料が0円なので、余計なコストを掛けずに店舗運営が可能です。
※ゆうちょ銀行は利用できません。

STORES 決済(旧Coiney)



「STORES 決済(旧Coiney)」は、iPhone、またはiPadを用意することでクレジットカード決済、電子マネー決済、QRコード決済が利用可能です。

申込みから最短3営業日で導入できるため、急いで導入したい方にはおすすめです。

ポータブルマルチ決済端末 A8


「ポータブルマルチ決済端末 A8」は、複数の決済サービスを1台に搭載した、マルチ決済端末です。

Wi-Fiの他にdocomoの4G通信に対応しているため、インターネット環境がない屋外でも利用可能です。

人件費

スタッフの給与と交通費手当などの福利厚生費は、店舗運営の非常に大きなコストです。

ただし、コストカットのために従業員本人に相談もなくシフトを減らしたり、時給を減らしたりすると、お店の信用にかかわる問題になりかねません。

当たり前のことではありますが、シフトや給与に変更を加える場合は、本人の納得を得て行うようにしましょう。

シフトを見直す

時間帯によっては、店内にお客さんがほとんどいないこともあるでしょう。そんな時にスタッフが多すぎては人件費の無駄です。曜日・時間帯によって適切な人数を配置できるよう、シフトはこまめに見直しましょう。

店の規模や忙しさに見合った人数の採用も大事なポイントです。繁忙期(年末年始・ゴールデンウィーク・夏休み)のみ、短期アルバイトの募集を行う方法もあるので検討してみましょう。

自動化ツールで業務を効率化

ある程度規模の大きな店舗であれば、少ない人員でお店をまわせるようにするための自動化ツールの導入も要検討です。例えば、タッチパネル式のオーダー端末「オーダーエントリーシステム」や「POSレジ」「キャッシュレス決済」などです。

助成金・補助金を活用する

ランニングコストを抑えるという主旨とは違いますが、「助成金」や「補助金」は賢く利用することで経費の削減に繋がります。

国や地方自治体から受け取れる返済義務のない資金支援制度の中には、開業や店舗運営に役立つものもあるため調べてみましょう。

助成金とは

助成金とは、厚生労働省が管轄する個人事業主や企業に支給されるお金です。雇用の安定や労働環境改善のための取り組みをサポートすることが目的です。

支給のための審査はなく、必要な条件を満たしていれば100%受け取ることができます。ただし、請求後すぐには入金されず、申請からお金の受け取りまで1年近くかかります。

随時募集しているのでスケジュールに余裕を持って申請しましょう。

補助金とは

厚生労働省が管轄する助成金に対し、補助金は、経済産業省の管轄です。

開業や事業を成長させるための設備投資をサポートすることを目的とした、個人事業主や企業に支給されるお金が助成金です。

補助金は助成金と異なり、申請したからといって必ず支給されるものではありません。申請に必要な条件を満たし、かつ審査に通った場合のみ受け取ることができます。

2021年使える助成金・補助金制度はコレ!

開業や集客をサポートする助成金・補助金は以下の通りです。受給要件をよく確認して、利用できるものがあったら賢く利用しましょう。

・地域創造的企業補助金
・小規模事業者持続化補助金
・事業継承補助金
・インバウンド対応力強化支援補助金
・緊急事態宣言に伴う経済産業省の一時支援金

5つ目の一時支援金は、2021年1月に緊急事態宣言が再度発せられたことにより、売上が減少した中小企業や個人事業主等に対して、最大60万円の一時金が支給される制度です。

<支給額>
中堅・中小企業・・・最大60万円
個人事業主・・・最大30万円
※支給額=前年又は前々年の対象期間の合計売上-2021年の対象月の売上×3ヶ月

<支給対象者>
緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業、または外出自粛等の影響を受けた業者
※対象となる事業者の例
・飲食店
・農業者・漁業者、飲食料品・割り箸・おしぼりなど飲食業に提供される財・サービスの供給者
・旅館、土産物屋、観光施設、タクシー事業者等の人流減少の影響を受けた者

<売上減少の要件>
2019年比または2020年比で、2021年の1月、2月または3月のいずれかの売上が50%以上減少していること

<申請スケジュール>
2月22日~
・申請者のアカウント登録の受付開始
・事業確認機関による事業確認の受付開始
3月1日~
・一時支援金の通常申請の受付開始

おわりに

飲食店の経営には初期投資のイニシャルコストはもちろん、ランニングコストのこともきちんと考慮することが大切です。

甘い試算でいると、経営が立ち行かなくなるのもあっという間です。収支シミュレーションを繰り返し行い、コストカットできるところはしっかりと節約して支出を削減していきましょう。