実店舗で開業を考えるならチェックしたい5つのこと

木目を基調とした飲食店

ネットショップもいいけど開業するならやっぱり実店舗!
インターネット全盛の時代にあっても、そう考える人は少なくありません。
ただ、実店舗の開業には何が必要でどんなことに注意すればいいのかについては、意外と知らない人が多いようです。
ここでは、実店舗の開業を考える人が知っておきたい5つのことについて紹介します。

1.開業場所の調査

実店舗を開業するに当たって何より重要視しなければならないのは“立地場所の調査“です。
どれほど素晴らしい店舗を作っても、立地に難があれば多くの集客を望むことはできません。
そのため、実店舗を構える場合には、候補地の環境についての調査を怠ってはいけないのです。
では、どういった点に重きをおいて調べればいいのでしょうか?

まずは、その候補地の物価や店舗の家賃について知る必要があります。
一般的な傾向として物価の高い地域は客単価(客が一回の来店で支払う金額)も高く、物価の低い地域は客単価も低くなりがちです。
ただ、客単価が高い地域は店舗の家賃が高くなる傾向にありますから、この点についてもしっかりと調べましょう。

実店舗を構えるとなると、どうしても人手が必要になります。
開業時は一人でも運営できるかもしれませんが、忙しくなれば必ず人を雇う必要に迫られます。
その時になって「思っていたより高かった!」といったことにならないためにも、候補地の人件費についても事前に調べておくことをお勧めします。
また、候補地の居住者や通勤者の交際費についても知っておいていいかもしれません。
特に飲食店の場合は重要です。
交際費が多い地域なら、接待や宴会といった大人数の来客が見込めます。
こういった客は飲食店経営にとって大きな収入減になりますから、候補地の交際費の調査はできる限り行うようにして下さい。
実店舗の経営にとって開業する場所は何より大切です。候補地について徹底的に調べ上げたうえで、実店舗を構える場所を決めましょう。

2.開業場所周辺のアクセス状況

実店舗を開業する地域を選定する際の立地条件に、候補地周辺の交通アクセスと人通りがあります。
これは、どういった場所にどんな店舗を構えるかによって違ってきますが、いずれにせよ重要な条件であることに変わりありません。
地方都市では車が交通の中心ですから、車で来店する場合の利便性が重要です。
特に人口の少ない地域の場合は、遠隔地からの客を一人でも多く増やす必要があります。
そのためには、幹線道路からのアクセス状況が良好でなければなりません。
裏通りや込み入った場所は車での来店が困難になりますから注意が必要です。

大都市に店舗を構える場合には、電車やバスといった公共交通機関のアクセス状況がポイントになります。
客のほとんどは電車やバスを利用して来店しますから、その利便性は重要です。
候補に挙がっている店舗と最寄りの駅やバス停からの距離を入念に調べて、なるべく距離が短い店舗を選びましょう。

また、開業する業種によっては、人通りを重要視しなければなりません。
例えば、美容院や高級レストランといった予約制を採用できる業種ならば、特に人通りを気にすることもないでしょう。
ところが、屋台系の飲食店となるとそうもいきません。
こういった店舗は予約制にはできませんし、比較的利益が薄いため、常連客だけでは経営が成り立ちにくいのが現状です。
そのため、できる限り人通りの多い場所を選ぶことが、経営を安定させるためのポイントになります。
いずれにせよ、まずは自分がどんな地域でどんな店舗を開業したいのかについて明確化することです。
そのうえで、その地域のアクセス状況と人通りについて調べることをお勧めします。

3.競合店舗などの有無について

実店舗の開業を考える場合に意外と見落としがちなのが 競合店舗 の存在です。
幹線道路近かったり公共交通機関のアクセスが良好であるといった優良な地域には、すでに同じ業種の店舗が数多く存在していると考えた方がいいでしょう。
つまり、ライバルが多くいるということです。
その中に割って入って多くの客を獲得するのは容易なことではありません。では、そういった地域で店舗を開業するには、どういった経営を心掛ければいいのでしょうか?

他店舗よりも価格を低くするのが効果的かもしれませんが、地域によっては逆効果になることもありますから注意が必要です。
それよりも、競合店舗との差別化を図る方が得策かもしれません。
例えば、他店舗にはないデザインの外装や内装にしたり、メニューを絞り込んで特徴を出してみてはどうでしょう。
また、接客を含めて、他店舗よりもサービスを徹底的に手厚くするという手もあります。
場合によっては、競合店舗の存在する地域を避けるというのも一つの方法です。
ただ、未開拓の地域を自分で切り開く作業にもそれなりの困難が伴うことを理解しておいて下さい。

いずれにせよ、まずは競合すると思われる他店舗について徹底的に調査することです。
その上で出店するかどうかを決め、出店するのであれば調査結果をしっかりと分析したうえで、その地域で生き残って行ける方法について考えるようにしましょう。

4.開業時の明確な事業計画について

実店舗を開業する際には明確な事業計画が必要になります。
明確な事業計画を立てる目的は、事業経営の安定化と成長への道程を示すことにあります。
実店舗を開業するにはそれなりの資金も必要です。
店舗の規模によっては貯蓄だけで賄えるかもしれませんが、ほとんどの場合は金融機関から借り入れることになるでしょう。
当然のことながら、事業に対する計画が明確でない者に金融機関は融資を行ってくれません。
「このくらいの金額で、こんな感じの店をやりたい」と言っているだけでは、金融機関はお金を貸してはくれないのです。
そのため、金融機関から融資を受けたいのであれば、事業に対する明確な計画を立ててそれを書面化しなければなりません。
では、その書面の内容とは一体どのようなものなのでしょうか?

事業に対する計画書には主に4つの計画を記載する必要があります。
それは、開業の目的や動機、手掛けたい業種についての内容、事業に必要な資金や資金繰りの内訳、売り上げや利益についての予測をもとにした事業の将来性です。
この4つの計画ついての書面と、これら4つの計画についての要旨をまとめた創業計画書を加えたものが事業計画書です。
金融機関から融資を受けるためには必ず必要な計画書ですから、できるだけ明確で正確な記述を心掛けましょう。

5.開業に際しての申請手続きについて

実店舗を開業する際には、税務署への個人事業の開廃業届出書の提出が必要になります。
届け出なくても事業は始められますが、無届けでは確定申告ができませんので必ず提出するようにしましょう。
個人事業の開廃業届出書(国税庁のHPから印刷が可能)は、国や自治体に「事業を始めましたよ」と知らせるために提出する書類です。
届出書には住所や氏名の他に屋号や事業の概要などの必要事項を記入して、納税地の税務署に提出(郵送も可能)して下さい。
記入漏れなどがない限り非受理になることはありません。

また、実店舗を開業する際にはもう一つ、税務署に提出しておいた方がいい書類があります。
それは、、青色申告承認申請書(国税庁のHPから印刷が可能)です。
青色申告をすると、確定申告の際の所得金額の計算時に有利な扱いが受けられますから、本格的に事業展開を考えているのなら必ず提出しておくことをお勧めします。
届出書には住所や氏名の他に、納税地や事業所得などの必要事項を記入して納税地の税務署に提出(郵送も可能)して下さい。
尚、個人事業の開廃業届出書を提出していないと青色申告承認申請書は受け付けてもらえません。
また、個人事業の開廃業届出書は開業から一カ月以内、青色申告承認申請書は二カ月以内に届け出る必要があります。
業種によっては、これらの他にも必要な手続きが加わります。
自分が始めようとしている業種にどんな手続きが必要なのかについては、各関係機関に問い合わせてみて下さい。

おわりに

これまで見てきたように、実店舗の開業にはいくつもの段階を踏む必要があります。
立地場所について詳しく調べたり、競合他社について考えたり、事業計画書を作成したり、関係機関への申請手続きも怠ってはいけません。
もちろん、資金さえ用意すれば開業することは可能です。
ただ、副業ではなく本格的に事業を展開したいのであれば、これらの段階をきっちりと踏んでおいた方がいいことは言うまでもありません。
一刻も早く開業したい気持ちも分かりますが、後悔したくないのであれば一つひとつの段階をクリアしてから開業に踏み切ることをお勧めします。