【美容師の独立開業】低リスクで独立できる?フリーランス美容師の働き方

【美容師の独立開業】低リスクで独立できる?フリーランス美容師の働き方

実は美容師が独立するための方法は、個人サロンの開業だけではありません。本記事では、美容師が低リスクで独立する方法として、フリーランス美容師の働き方について解説します。

美容師としての経験を積むと、一度は自分のサロンを開業してみたいと思い描くものです。しかし資金面などの不安から、なかなか踏み出せないケースも少なくないでしょう。

本記事で独立前にフリーランス美容師の働き方を学んでいきましょう。

美容師が独立する3つのリスク

美容師が独立する3つのリスク

美容師に限ったことではありませんが、独立するには当然リスクも伴います。

リスク①資金面

美容師が独立するもっとも大きなリスクは資金面です。

新たなサロンを開業するために必要な資金は、1,000万円を超えることも珍しくありません。もちろん全額を個人で準備できる人は少ないため、多くのケースで融資を頼ることになるでしょう。

また、開業してから経営が安定するまでの間の固定費など、運用コストも必要です。

資金繰りが苦しく廃業せざるを得なくなったとき、残るのは多額の返済金です。美容師が独立するかを悩む原因には、第一に資金面の不安があるといえるでしょう。

リスク②経営スキル

独立するためにはさまざまな知識やスキルが必要です。従業員として雇われている美容師に求められるのは、主に施術のスキルだったでしょう。

しかし、自分が事業者となると、日々の経理や商材の管理・発注、スタッフを雇うのであれば人材育成など、業務は多岐にわたります。

仮にどんなに施術スキルに自身があっても、その他の業務に関する知識が乏しいことで経営が立ち行かなくなってしまう可能性があるのです。

独立するためには、事前に経営に関する知識を学んでおくことが必要不可欠といえるでしょう。

リスク③高い競争率

独立後は、集客力も求められます。

2019年の厚生労働省の調査では、美容所(美容院、美容室)の施設数は25万件超、従業美容師数は54万人超と、いずれも過去最多となりました。

しかし、需要が高く景気がよさそうな業界に見える一方で、厳しい競争に勝ち残れずに早期廃業をせざるを得ないケースがあることも事実です。

美容師として独立するためには、その後長期的に安定した集客を維持する力も必要です。

低リスクで独立できる“フリーランス美容師”という働き方

低リスクで独立できる“フリーランス美容師”という働き方

リスクを恐れて独立をためらう方には、フリーランス美容師という働き方をするのもひとつの選択肢です。

フリーランス美容師とは、特定のサロンと雇用契約を結ぶことなく働く美容師のことを指します。

本項では、独立開業とフリーランスの違い、およびフリーランス美容師の働き方について解説します。

独立開業とフリーランスの違い

実は美容師として独立開業することとフリーランス美容師として働くことに、明確な線引きはありません。

「独立」のもっとも一般的なイメージである個人サロンの開業も、広い意味ではフリーランスです。また、個人サロンの有無に関わらず開業届を提出して個人事業主として独立するという点も共通しています。(※個人サロンが法人登記する場合を除く)

ただし、本記事内においてフリーランス美容師とは、特定のサロンの従業員でもなく、個人サロンも開業していない働き方に限定します。

なお、個人サロンを開業する独立方法については以下の記事で解説しています。本記事と比較するなど併せて参考にしてください。

フリーランス美容師の3つの働き方

フリーランス美容師として働くには、主に3つの方法があります。

働き方①シェアサロンを活用する

貸し出し用のスペースを、時間制や月額制などのレンタル契約を結ぶことで利用する方法です。シェアの仕方はさまざまで、たとえば以下のようなものが挙げられます。

■レンタルサロン
レンタルサロンは、美容師が施術することを前提としたつくりのサロンスペースを借りる方法です。

  • 広いワンフロアに並ぶチェア1台分のスペースを借りる
  • 完全個室に区切られたスペースを借りる
  • ワンルームマンションタイプの部屋を借りる

使用目的が限られているため専用の設備が整っており、利用のハードルが低いという特徴があります。

■レンタルスペース(レンタルルーム)
用途を限定せずに貸し出しているスペース(レンタルルーム)を借りる方法です。サロンで必要な設備面が整っていないことも珍しくないので、事前にしっかり確認する必要があります。また、多目的用のスペースのため、美容師1人が施術を行うスペースとしては必要以上に広い場合もあります。

シェアサロンは、施術に使う薬剤などを自分で準備するだけでなく、レンタル契約料を支払う必要があります。しかしその一方で、売上は100%自分の取り分となるのが大きなメリットであるともいえます。

働き方②面貸しの制度を利用する

「面貸し」は「ミラー貸し」と呼ばれることもあり、営業中の美容院内で施術スペースを借りて働く方法です。必要な設備は元々備わっているほか、内装など雰囲気も整っています。

あくまでスペースを借りるだけなので、顧客は自分で集める必要があります。

また、必要な薬剤を自分で用意するか、売上からどれくらいの割合が自分の取り分となるかは美容院側との相談になります。

働き方③業務委託契約を結ぶ

ここでの業務委託契約とは、一見通常の美容院スタッフのようでありながら、従業員とは異なる働き方を指します。

たとえば、雇用契約を結んでいる従業員は、顧客の有無に関わらず閉店後の片づけまで残る必要があるなど時間的な拘束が発生します。

一方で業務委託契約を結んで働く美容師は、担当する顧客の対応が終わり次第業務が終了するなど、働き方の自由度が高いのが特徴です。(※契約内容の詳細は美容院ごとに異なります)

同様にサロン内で働く「面貸し」との違いは、集客を自分で行う必要がない点です。

業務委託契約では、サロンを訪れる顧客を割り振られ、歩合制で報酬を得ることが一般的ですが、
集客の手間がかからない分、面貸しよりは取り分が少なくなる傾向にあります。

【フリーランス美容師の働き方】

働き方 メリット・デメリット
シェアサロン:時間制や月額制でスペースを借りる ・売上はすべて自分のものになる
・借りるスペースによっては準備が大掛かりになる
面貸し:美容院の一角を借りる ・設備が整った美容院を借りることができる
・集客は自分で行う必要がある
1,000万〜3,000万円 200,000〜300,000円
業務委託契約:雇用契約ではなく業務委託契約を交わす ・集客を自分でする必要がない
・売上に対する取り分がもっとも少ない

フリーランス美容師として独立する3つのメリット

フリーランス美容師として独立する3つのメリット

メリット①資金面のリスクが低い

フリーランス美容師の最大のメリットは資金面のリスクの低さです。個人サロンを開業するケースのような、多額の開業資金は必要ありません。

そのため、もし思うような成果が出なかったとしても、返済金に追われることもないのです。再び従業員として働くことを選択するなど、切り替えもスムーズに行えます。

また、集客に成功すれば収入も増え、今後本格的に独立開業するための資金を貯めることも可能です。

いずれにしても、金銭面のリスクを最低限に抑えながら、雇われの身から一歩踏み出して自分の力を試せるのは大きな経験となるでしょう。

メリット②独立に必要な経営スキルを学びながら働ける

フリーランス美容師として働く経験は、いつか個人サロンを開業することになった際に必ず活かすことができます。

フリーランス美容師は、自分のサロンこそ持っていないものの、雇われではなく一事業者であることに代わりはありません。

個人事業主としての届出や日々の業務の記録、保険や納税の手続きなどは、独立開業を目指すのであれば今後なからず必要になる知識です。

従業員からいきなり個人サロンをもつのではなく、一旦フリーランスとしての経験を積むことには大きな意義があります。

メリット③独立後の顧客づくりができる

フリーランス時代に濃い顧客を獲得することができれば、今後サロンを開業する際にもある程度の集客が見込めます。

従業員として雇用されていた状態からいきなり独立開業する場合、サロンの開業準備と並行してゼロから集客を始めるのは大変なものです。

もちろん、元の美容院で指名をしてくれていた顧客の一部が流れてくることもあるでしょう。しかし残念ながら、美容師個人ではなく美容院のブランドに魅力を感じている人がいることも事実です。

フリーランスとして活動する期間は、自分個人の力を評価してくれる顧客を見つける大切な時間であるともいえるのです。

フリーランス美容師として独立するデメリット

フリーランス美容師として独立するデメリット

デメリット①収入が不安定

雇用契約を結ばないフリーランスは、働き方の自由度が高い一方で、収入が安定しないというデメリットがあります。

日給や月給で働く従業員は、顧客の数や忙しさに関わらず、安定して決まった給与を得ることができます。しかしフリーランスは、対応した顧客の数が収入に直結します。

特に自分で集客を行う必要があるシェアサロンや面貸しの働き方を選択する場合、日によっては収入がまったく無いこともあるでしょう。

集客を行う必要がない業務委託であっても、客数が少ない日は早めに切り上げる場合があるかもしれません。

条件は契約を交わす美容院ごとに異なるため、月間の最低保証件数を決めておくなど、事前にしっかりと交渉することも重要です。

デメリット②業務内容が増える

フリーランス美容師は、従業員として働くことに比べて、業務内容が大幅に増えます。自分が運営するサロンこそありませんが、ひとつの事業を管理する事業者としての責任が生まれるからです。

たとえば、集客のための活動に力を入れたいのにも関わらず、慣れない経理業務に時間を取られてしまうこともあるでしょう。またわからないことがあっても、気軽に質問できる先輩や同僚は存在しません。

しかし、メリットの部分でも解説した通り、フリーランスとしての経験は今後に必ず活かすことができます。

経営者としてのスキルを磨くことは、独立開業後に長く安定していくためには欠かせないもの。貴重な機会だと思って、ぜひ知識やスキルを積極的に身につけましょう。

フリーランス美容師の集客はSNSの活用が必須!

フリーランス美容師の集客はSNSの活用が必須!

自身で集客を行うことも多いフリーランス美容師にとって、SNSは欠かせません。SNSをうまく活用できれば、広告費用をかけずに集客することも可能です。

Instagram

Instagramは、美容師の集客にもっとも適したSNSであるといえるでしょう。写真の投稿がメインのInstagramは、おしゃれに関心の高い層が主力ユーザーです。

たとえば新しいヘアスタイルを探すときや、いつもとは違う美容院に行ってみたくなったとき、Instagramのプラットフォーム内で検索をするケースも少なくありません。

投稿は、施術前後で顧客のイメージがどのように変化したのかがわかる写真や動画が特におすすめです。美容師としてのスキルを示せるだけでなく、ユーザーが自分の変化をイメージしやすくなります。

「私もこのカラーがしたい!」「この美容師さん、カットが上手!」などと感じてもらえるような投稿が有効です。

その他にも自宅でも真似できそうなヘアアレンジ方法や、おすすめのヘアケア製品など、ユーザーの関心が高そうなものを投稿のテーマに選びます。

美容師という専門家だから伝えられるアドバイスを含めることで「この美容師さんの情報がためになる!」とフォローしてくれるようになります。

なお、Instagramは、投稿ごとにURLを貼ることができません。予約の受付はDM(ダイレクトメッセージ)でやりとりをするか、顧客の数が増えてきたらプロフィール欄に予約ツールにリンクするURLを貼りましょう。

Twitter

Twitterは文字だけの投稿も可能で、Instagramに比べてユーザー同士のやりとりもラフに行われているSNSです。

また、リツイート機能による拡散力もTwitterの大きな魅力で、ふとしたことから話題になると、一気に知名度をあげるチャンスに恵まれます。

Twitterでも、基本的にはターゲットユーザーに役立つ情報を投稿することが効果的です。Instagramと使いわけるのであれば、Twitterのユーザーに合わせたフレンドリーな雰囲気を意識するとよいでしょう。

もしSNSアカウントを複数運用する余裕がない場合は、Instagramをメインに運用し、TwitterはInstagramへ誘導するために更新情報を流すという使い方がおすすめです。

Twitterでは投稿ごとにURLを貼れるため「Instagramを更新しました」の一言とURLだけでも投稿は成立します。

このようにSNSは、サロンの開業資金を貯めたいと考えるフリーランス美容師の方にとっても、リスクを負うことなくできる有効な集客方法です。

おわりに

美容師の独立方法として一般的な個人サロンの開業にはさまざまなリスクが伴います。特に資金面は将来を大きく左右する重大な問題なだけに、なかなか決断できないものでしょう。

フリーランス美容師は、特定のサロンと雇用契約を結ぶ従業員よりも自由度が高く、またサロンの運営者よりも低リスクに働ける方法です。

自分のサロンこそ持たないものの、経営に必要な知識を学んだり、集客も行ったりと、今後に役立つ経験を積むこともできます。

また、フリーランス時代に資金を貯めることができれば、個人サロンの開業も実現に近づきます。独立に興味がある美容師の方は、まずはフリーランスとしての働き方に挑戦してみてはいかがでしょうか。