整体院の広告表現ルール(景品表示法)、表現やワードに注意!

2020年のコロナの影響から自宅待機が増え、健康や美容について深く考える機会が増えているのではないでしょうか。

その影響から長時間座ったままになりがちなリモート作業により、腰から下に異常を訴える方も増えているのではないでしょうか。

そういったユーザーに向けた告知方法に、誇大な表現を使用してはいけないという広告規制があることを知っていますか。

「小さなチラシだから」「ホームページだから、すぐ修正できるから」という安易な気持ちで誇大に効用を表現することは、法的に禁じられています。

今回の記事では下記の内容について解りやすく説明します。
世に出てしまったら「知らなかった!」では通用しない内容です。
是非参考にしてみてください。

(1)景品表示法についての解説

景品表示法についての解説

景品表示法とは

”景品表示法は、正式には、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)といいます。

消費者なら、誰もがより良い商品やサービスを求めます。ところが、実際より良く見せかける表示が行われたり、過大な景品付き販売が行われると、それらにつられて消費者が実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまい不利益を被るおそれがあります。

景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限することなどにより、消費者のみなさんがより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ります。”

景品表示法とは

参照ウエブサイト:消費者庁ホームページ

消費者庁の記載で注目すべき点は、「過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限することなどにより、消費者のみなさんがより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ります」という箇所です。

実際のサービスの品質は良くなくても、誇大な表現で集客を計る行為、また景品やノベルティの上限額を設定せずに客寄せを図る行為は違反のため処罰対象になるという事が重要です。

①景品表示法は、ユーザーを紛らわしい表現で勧誘するような行為を罰するための法律です。施術行為の効能は、あくまでもユーザーの体感レベルによって様々な捉え方があるため、断定的な表現をする事を禁じています。

②景品表示法は、来店(来院)頂くユーザーと施術依頼の見返りとして、方外な金額設定の景品や商品券などを贈呈することを禁じています。景品規制(総付景品)の定義に準じてご説明すると、施術合計金額の1/5が上限となります。

例えば施術費用が5,000円の場合、上限額1,000円までの景品などを贈呈することができるため、厳密には1,001円以上の価値がある物理的・非物理的景品をユーザーに提供することはできません。つまり最新のテレビゲーム機器など、ユーザーが喜びそうな高額の景品を贈呈することを禁じているという事です。

景品表示法違反行為を行った場合どうなるのか

限度額を超える景品の贈呈行為や、誇大表現による集客を図った事業者へのペナルティはどのようなものがあるのでしょうか。自治体によってその解釈は多少変わってきますが、概ね以下の通りの措置が事業者に適応されます。

①公正取引委員会・消費者庁・都道府県知事が連携し、違反行為について外部から提供された情報をもとに調査します。事実が判明した際に即時「指導」が入り、「弁明の機会」が付与されます。その期間を過ぎても改善が無いような事業者には、「処置命令」が発令された後に「課徴金納付命令」が下されます。

新聞広告やチラシなど物理的に発表され調査の結果、既に景品贈呈などの行為が行われている際は、「課徴金納付命令」が事業者に発令されるため、消費者庁と公正取引委員会の指示に従い一定の反則金を納付する必要があります。

(注)処置命令及び課徴金納付命令に関する要件を満たすと認められた事案であることが前提

処置命令及び課徴金納付命令

参照ウエブサイト:消費者庁ホームページ

上記のような景品表示法の大枠は理解していたとしても、実際の罰則については知らない事業者も多いようです。広告展開や景品についてはしっかりと把握しておきましょう。

では、整体院や鍼灸院などの治療院で、実際にどんな表現方法がNGになるのか、次項で紹介します。

(2)整体・治療院の広告等に於いてNGとなる表現例を紹介

街中や折り込みチラシなどで見かける広告は様々なジャンルが混在します。
その混在している広告の中でも一番目立つようにしたいと思うのは事業者の心情だとおもいます。

同業他社よりも一歩前で宣伝したい、一人でも多くの集客が欲しい、などその広告掲載理由は様々ですが、整体・治療院の事業者には気をつけたいNGワードがあります。

以下に、シンプルなリストとしてまとめました。

①広告表現

「世界一の整体技術」や「最新の技術で身体全部を治す」など、最大級を表するものは誇大広告表現にあたるため、広告では使用することができません。

また、「10分で痛みが治る」や「体質改善を保証します」といった表現も、ユーザーの主観とは異なる場合があり、誤認に繋がる可能性があるため使用できません。

②治療という言葉

整体院は医療類似行為の中でも、法律で認められていないものであることから、「治療」という言葉を使うことはできません。店舗名称も「○○クリニック」や「○○診療院/治療院」という名称を付けることはできません。

③ビフォーアフターの掲載

施術の前後を比較して過大に成果があったことを強調するような広告掲載はできません。更に「患者様の声」等を付帯表現として、成果を助長するような表記もできません。

④具体的な施術内容の表記

信憑性を保つ為に、具体的な施術内容を広告に盛り込む事業者がいますが、これは禁じられています。テキストや画像、イラストなどでも表現し集客を狙う行為は違法です。

施術を受けることで回復の方向に向かうのは確かではあるのですが、医療的な施術でないことから、その表現方法には規制があります。

では、NGワードではなく、OKワードはどんなものがあるのでしょうか?

(3)おすすめの表現や対策

おすすめの表現や対策

前項でご紹介した4つのNG広告例を使って、この章ではOK広告例をご紹介します。
※自治体によって認識が異なる可能性がありますので、管轄の部署に御確認ください

①広告表現

「世界一の整体技術」や「最新の技術で身体全部を治す」はNGですが、
「長きに渡り培ってきた整体技術」「最新の技術で身体全体を回復の方向へ導きます」
という表現であれば誤認を防ぐことができると考えられます。

「10分で痛みが治る」や「体質改善を保証します」はNGですが、
「短期間で痛みが和らぐように努めます」「体質改善の効果を促します」は誤認を防ぐことができます。

②治療という言葉

医療的診療ではないため「治療」という言葉を使うことはできませんので、「緩和」「施術」という「施工」に似た表現を用いることで誤認を防ぐことができます。

③ビフォーアフターの掲載

施術の前後を比較して過大に成果があったことを強調するような表現はNGですが、
体質改善後の写真を通じて表現するユーザーの主観的感想は、施術前後の生々しい表現ではなく品位を伴った個人の感想なので誤認を防ぐことができます。

④具体的な施術内容の表記

信憑性を保つ為に、具体的な施術内容を広告に盛り込むことはNGですが、
「身体の痛み具合や患部を検証しながら、患者様と相談して回復に繋げる施術を行います」というような表現ですと、誤認を防ぐことができます。

誇大広告にならないためのポイントのまとめ

①具体的な部位や目標値などを掲載することを避ける
②治療ではなく、あくまでも緩和のためのサービスであることを前提とする
③イメージ写真はより抽象的なものを採用し、その施術方法や効用は記載しない
④キャンペーン期間50%オフ!や50,000円分ポイント還元!などの文言は避ける
⑤制作中の媒体をお住まいの自治体窓口に相談してから公表する

誇大広告にならないためには最新の注意をはらう必要があります。

集客のためにキャッチーな文言を採用しがちですが、ご自身がユーザーであった時に、迷わず通いたいと思える表現を採用することで、同じ目線で広告を見ることができます。

是非、現在使用中のHPなどの媒体やチラシ、ポイントカードなどの付帯広告について見直してはいかがでしょうか。