フランチャイズ開業のリスクとは?本部選びなど失敗を回避する方法についても解説

フランチャイズ契約による開業を検討している方へ、フランチャイズ開業のリスクや成功するためのポイント、フランチャイズ本部の選び方について詳しく解説します。

知名度の高いフランチャイズ本部の加盟店としての開業は、店舗運営の経験がない個人にとっても再現性の高いものです。

しかし一方で、フランチャイズならではのリスクがあることも事実です。本記事では、フランチャイズ開業のリスク、また経営を成功させるために欠かせないフランチャイズ本部の選び方について解説します。

フランチャイズ開業に伴う3つのリスク

フランチャイズ開業に伴う3つのリスク

個人で開業することと比較して、フランチャイズ開業には具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。

リスク①フランチャイズ本部との契約による制限

フランチャイズ開業のもっとも大きなリスクは、フランチャイズ本部との契約内容によってさまざまな制限が設けられることです。

以下は、一般的なフランチャイズ契約書に記載される事項の一例です。

  • 契約期間:最低限店舗を経営しなければならない期間
  • 経営方針:基本的にフランチャイズ本部の方針に従う
  • 営業時間:個人の都合で変更不可
  • ロイヤリティ:経営状況に関わらず一定の支払いが義務づけられる
  • 競合避止義務:契約期間完了後に同業種で営業してはならない(フランチャイズ本部のノウハウの流出を防ぐためのルール)

※上記は一例であり、契約内容の詳細はフランチャイズ本部ごとに異なります
契約内容の詳細を把握していないと、後にフランチャイズ本部とのトラブルに発展することも珍しくありません。もし契約内容を守れないようなことがあれば、違約金の支払いや契約解除など、厳しい措置をとられることもあるため注意が必要です。

たとえば不測の事態で店舗をたたむことになっても、契約期間を満了していなければ違約金の支払いを求められることにもなりかねないのです。

リスク②ブランドイメージの影響を受ける

フランチャイズ開業は、良くも悪くも本部となる企業のブランドイメージに左右されます。

そのため、フランチャイズ本部や特定の店舗で問題が起きた際、一切関わりのない他店舗の経営にも大きな影響を受けることも珍しくありません。

近年の事例として、従業員による不適切な動画がインターネット上で拡散されたケースを挙げることができます。経営者の目の届かない所で、ごく一部の従業員によるものだったとしても、顧客にとってブランド全体のイメージが低下することは避けられないのです。

このようにフランチャイズ店舗は、自らの力では防ぎようのない原因で経営が悪化するリスクも背負っています。また同時に、万が一自店舗で何か不祥事を起こしてしまった際は本部や多店舗に重大な迷惑をかけてしまう可能性もあるのです。

リスク③経営者の労働環境

経営者の労働環境を維持しにくいこともフランチャイズ開業の大きなリスクです。

雇われて働く労働者は、労働基準法によって最低限の労働環境が守られています。一方で経営者は労働基準法による「労働者」には該当しないため、労働環境の悪化に陥りやすいのです。

特にフランチャイズ店舗の経営者の場合、本部との契約内容を守る必要があるため自己判断で店舗を休業することもできません。繁忙期や人手不足の際は、店舗経営者が負担を負うことになるでしょう。

長時間労働が続くと健康面でのリスクも高まるだけでなく、ライフワークバランスの乱れも懸念されます。

【フランチャイズ開業のリスク】

契約内容による制限 ・契約期間や営業時間など制限がある
・ロイヤリティの支払いなど資金面の負担
・契約期間完了後に同業種で営業できない
ブランドイメージの影響を受ける ・本部や多店舗でのマイナスイメージの影響を受けてしまう
・自店舗で何かあったら迷惑をかけてしまう
経営者の労働環境 ・経営者には労働基準法が適用されない
・人手不足などの影響を経営者が抱え込むことになる

フランチャイズ開業ならではのメリット

フランチャイズ開業ならではのメリット

フランチャイズ開業は、リスクだけでなくもちろんメリットもあります。リスクを理解したうえで、メリットをうまく活かした運営を行うことが重要です。

開業時のメリット:経験を問わず開業できる

フランチャイズの最大のメリットは、未経験の業種でも経営者として開業できることです。もちろん単に開業するだけでなく、フランチャイズ本部によって用意されたマニュアルや経営サポートによって、安定した経営を目指せます。

長年の事例から生み出されたマニュアルや、膨大なデータを基に分析された経営戦略などは、とても個人が叶うものではありません。

仮に経験を積んだ業界において個人で独立したとしても、経営を軌道に乗せるまでは時間がかかるものです。フランチャイズで開業することは、スピーディーに開業より早く経営を軌道に乗せるためには、とても効率のよい方法であるといえるでしょう。

資金面のメリット:開業資金を集めやすい

開業時のハードルとなる資金面においても、フランチャイズならではのメリットがあります。

銀行などの金融機関から融資を受ける場合、これまでの経験などが判断基準となります。しかし、未経験の業種では実績や事業計画を示すことが難しく、融資を断られてしまうことも珍しくありません。

しかし、フランチャイズ店舗として開業するケースでは、既存の店舗の事例などを挙げてより具体的な事業計画を示すことが可能です。フランチャイズ本部の知名度も助けとなり、融資を受けやすくなることが期待できます。

また、場合によっては開業資金の一部を本部が負担したり、設備の一部を提供したりすることもあるようです。一般的なケースに比べて、開業資金を抑えられるのもフランチャイズのメリットです。

集客面のメリット:宣伝や集客のハードルが低い

フランチャイズ本部のブランド力は、前述したようなリスクを伴う半面、大きなメリットであるともいえます。

個人で開業する場合、店舗の存在を認知してもらうための宣伝や開業当初の集客に苦労するものです。

一方でフランチャイズ店舗の場合、開業当初から本部のブランド力を活かした集客が期待できます。特に店舗数が多い場合、既存の店舗によって積み上げられたブランドイメージによって、開業前から認知されていることも珍しくありません。

また、本部が新店舗の宣伝活動を担ってくれることもあるようです。

経営面のメリット:経営に専念できる

フランチャイズ契約によるさまざまな制限は、スムーズな経営を行うためにはメリットであるとも捉えることができます。

たとえば以下の項目について、個人で準備するには時間も労力も必要です。

  • 設備の選定と導入
  • 取引先業者の選定と契約
  • 商品開発
  • 接客のマニュアルづくり

あらかじめ準備されたフランチャイズ開業であれば、時間を節約し、店舗運営に注力することが可能です。

【フランチャイズ加盟店を経営するメリット】

開業時のメリット ・未経験でも開業できる
・未経験でも再現性が高い
資金面でのメリット ・本部の信頼度や多店舗の事例から融資を受けやすい
・フランチャイズ本部が一部の資金を負担することも
集客面のメリット ・本部のブランド力で集客しやすい
・本部が宣伝してくれることも
経営面のメリット ・判断する項目が少なく経営に集中できる

このように、フランチャイズ店舗を開業することはさまざまなメリットがあることも事実です。リスクも充分に理解したうえで、メリットを活かして経営していくことが重要です。

次の項では、フランチャイズ経営をより成功に導くためのポイントについて解説します。

フランチャイズ経営を成功させるためのポイント

フランチャイズ経営を成功させるためのポイント

ポイント①開業資金を多めに準備する

前述したように、融資の受けやすさや比較的に安い開業費など、フランチャイズは資金面のメリットがあることは事実です。しかし長期的な視点で考えたとき、経営資金が足りなくなるケースも珍しくありません。

たとえばフランチャイズ本部との契約内容によっては、売上金額に関わらず一定のロイヤリティを支払い続ける必要が生じることもあるのです。

またブランド力のあるフランチャイズ本部と契約したからといって、必ずしも成功が約束されているわけではありません。

事業計画通りに行かないケースも想定し、開業資金を多めに準備することで、精神的にもゆとりある経営を行えるでしょう。場合によっては支援金や補助金なども活用しましょう。

ポイント②労働環境を整える

安定した店舗運営を行うためには、長時間労働になりがちな経営者自身の環境を整えることも重要です。

どんなに優れた経営ノウハウを得たとしても、実際に店舗を動かしていく経営者の体力が続かなければ長く存続することも難しくなってしまうためです。

  • 家族の理解と協力を得る
  • もしものときに相談できる専門家を探しておく
  • 経理など業務の一部を任せられるスタッフを確保する

以上のように開業前から準備できることで、あらかじめ経営者の負担を減らすことも意識しましょう。

ポイント③フランチャイズ本部を慎重に選ぶ

当然のことながら、フランチャイズ本部選びは慎重に行う必用があります。例えば、同業種であっても契約内容の違いによって利益率や経営者の負担が大きく異なることもあるためです。

知名度の高さや契約金の安さなど表面的なものではなく、その後長く経営を続けるために重要な条件を重視しましょう。

フランチャイズ本部の選び方について詳しくは、次の項で解説します。

フランチャイズ本部の選び方

フランチャイズ本部の選び方

サポート体制が充実しているか

特に未経験の業種で開業する場合、フランチャイズ本部のサポート体制は重要です。

開業前の説明会や研修だけでなく、開業後の指導や万が一のトラブル時のサポート内容を確認しましょう。

フランチャイズ本部に支払う費用の安さにメリットを感じて契約したものの、サポート体制に満足できないこともあるので注意が必要です。

マイナス面も含めた説明があるか

フランチャイズ本部主催の事前説明会では、契約後の事業展開についてポジティブなビジョンが語られるでしょう。しかし中には、計画通りに行かなかったケースも多少なりとも存在するはずです。

成功事例だけでなく、開業のリスクや具体的な失敗事例などのマイナス面も含めて説明するフランチャイズ本部は、信頼度が高いといえるでしょう。

質問への明確な回答があるか

最終的な契約に至るまでには、契約書の内容を十分に理解しておくことが重要です。

契約書の内容は経営者の都合で変更することはできないため、場合によっては自身を苦しめることにもなりかねません。

疑問点がある場合は、契約前に調べたり担当者に質問したりして解消するようにしましょう。もし明確な回答が得られないなど疑問が解消されない場合は、むやみに契約をせずに他の選択肢を探すことも視野に入れる必要があります。

複数のフランチャイズ本部を比較検討する

最初から特定のフランチャイズ本部との契約を考えている場合でも、視野を広げて他のフランチャイズ本部についても調べ、比較してみましょう。

業種にこだわることなく資料請求をしたり、複数の事前説明会へ積極的に参加したりすることで、それぞれの特徴がわかるようになります。

最終的に契約するフランチャイズ本部は、他と比べてどのような部分が優れていて逆にどのようなリスクがあるのか、理解することが重要です。

第三者の意見も参考にする

フランチャイズ本部からの説明だけでなく、第三者の意見に耳を貸すことも大切です。

業種に詳しい専門家や実際に起業している知人など、自分とは違う立場の人ならではの意見を聞くことができるでしょう。

また、契約を検討しているフランチャイズ本部から既に開業しているケースも積極的に探したいものです。直接話を聞くのが難しい場合、フランチャイズ情報のポータルサイトなどで事例を閲覧することができます。

おすすめのフランチャイズ情報ポータルサイト

いずれもサイト内から資料請求や説明会への参加申し込みが可能です。

探す!フランチャイズ<



「探す!フランチャイズ」は、ビジネスコンサルタントが運営するフランチャイズ情報のポータルサイトです。

知名度の高い大手フランチャイズに限定せず、本サイト独自の案件も掲載されていることが大きな特徴といえるでしょう。

更に実際にフランチャイズ店舗を開業した経営者のインタビューなども掲載されており、開業のきっかけや仕事のやりがいなど、経験者ならではの生の声を知ることができます。

フランチャイズサポート<



「フランチャイズサポート」は、研修体制やミドルエイジ向けなど、詳細なこだわり条件からフランチャイズ案件を検索できる開業支援サイトです。さまざまな角度から、複数のフランチャイズ案件を比較するのに役立つでしょう。

サイト内では、独立開業のために必要なノウハウをコラム形式で提供しています。

おわりに

フランチャイズ店舗の経営は、本部との契約内容による制限が大きいなどのリスクを伴います。しかし、既存のブランド力を活かして初心者でも開業できるなど、フランチャイズならではのメリットも少なくありません。

リスクとメリットの両面をよく理解したうえで、長期的な経営を見通すことができそうか、契約内容などをよく比較検討することで自身にあったフランチャイズ本部を探してみましょう。