経営について(管理・運用)

店舗の順調な経営には、売上管理や節税など管理方法に工夫が必要です。資金をきちんと管理し、無駄をできるだけなくすためにはどのような取り組みが大切なのでしょうか。今回は、売上管理や節税など資金面を中心に店舗経営のコツをご紹介します。

店舗経営についてもっと知りたい!

店舗の資金管理方法

資金を確実に管理していくには、事業資金のフローを明確にすることが大切です。数字は得意でないという方も多いかもしれませんが、以下の3つはきちんと実行しておくと良いでしょう。

  • 事業専用の口座を運用する
  • 事業専用のクレジットカードを作る
  • 会計ソフトを利用し、資金の流れを把握する

事業資金のフローを明確にしておくと、以下のメリットを得られます。

  • 事業資金の収支が明確になる 利益や損失の状況が、リアルタイムで把握できます。
  • 金融機関への説明がしやすい 融資を受けるには、経営状況を数字で説明できることが何より必要です。

これらの点を踏まえ、売上管理の方法や節税のポイントについてご紹介します。

店舗経営のコツ:売上管理編

売上管理とは?

店舗を安全に経営するには、売上を増やして経費を抑えることが大前提といえます。そのためには、日々の売上管理をしっかり行うことが重要です。

売上管理のコツ

目標(売上を増やして経費を下げる)を実現するためにどのようなことができるか、原価、人件費、客単価の3つの面から簡単にご紹介します。

原価を抑えるには?

飲食店の場合は「オーダーミスをなくす」ことや、美容サロンの場合は「丁寧に施術し、ふき取り用の紙タオルなどを無駄に使わない」ことなどです。日々の取り組みのなかで、店内で発生する「無駄」を省くことが大切です。

人件費を抑えるには?

従業員のシフト管理を行い、業務が適正な人数でしっかり回るよう常に配慮しましょう。

客単価を上げるには?

売れ筋商品の隣に季節商品を並べるなどし、お客さまが「ついで買い」をしたくなるような店内陳列を心がけましょう。

売上管理にはPOSシステムが便利!

売上管理業務のすべてを、人の手でコツコツ実行していくのは大変です。売上管理の作業をよりスムーズで正確に行うには、POSシステムの導入がおすすめ。

POSシステムとは?

POSとは「ポイント・オブ・セールス」の略で、日本語に直すと「販売時点情報管理」となります。商品を販売した時点で売り上げ情報を反映し、在庫の管理などを一貫して行うシステムを指し、正確でタイムラグがないというメリットがあります。 バーコードを読み取れば売り上げがすぐに計上され、コンピューターを介してリアルタイムで売上情報が反映されます。もちろん売上管理や分析にもすぐ役立てられるので、情報の正確性の担保のみならず生産性の向上にも大きく寄与できます。

POSシステムを使った売上管理

POSシステムは即時に売上を登録し釣り銭を正確に計算する機能にとどまらず、売上管理の面でも大いに役立てられます。商品名、その価格や個数、販売日時など販売に関する情報が即時に把握でき「何がいついくらで何個売れたか」が経営サイドにもすぐ分かります。時間差なく販売の動向が可視化される点は、売上管理業務において大きなメリットといえるでしょう。

POSシステムを使った売上分析

また、POSシステムで得られた情報を分析し、今後の販売戦略に活用する取り組みも積極的に行われています。売れた商品と購入した人の年齢や性別、その日の天気などのデータを集めてビッグデータとし、販売戦略に役立てるという手段がとられていることはご存じの方も多いでしょう。最近ではこれらのデータを人の手で分析せず、AI(人工知能)が分析して適した販売施策を提示するなどの取り組みを導入している企業も増えています。個人商店ではそこまでの分析は現実的ではないかもしれませんが、ご自身でデータをコツコツ取って分析を行わなくてもPOSが自動で計上してくれるというだけでも、今後の経営のヒントが多く得られそうです。

店舗経営のコツ:節税のヒント

節税とは?

未払金、未払い費用を今期の費用として計上する

決算の際、今期に発生して支払いが来期になる費用を今期分の費用として計上することができます。人件費(給与)や広告宣伝費、リース料、保険料などの費用が対象ですが、最も効果的なのは人件費でしょう。

決算の前に消耗品を買っておく

必ず使用する消耗品を決算前にまとめ買いしておけば、今期中に経費として計上できるため税負担の低減ができます。 この他にも節税の方法は意外にたくさんあります。

固定資産除却損

もう使用しなくなった設備などをそのまま置きっぱなしにしていると、固定資産として計上しなければならなくなりますね。そのため、廃棄業者などに引き取ってもらえば除却できると考えている方も多いでしょう。しかし、廃棄せずに除却が認められる例外措置があります。それが、設備を残したまま除却扱いとできる「固定資産除却損」という措置です。ただし、本当に使っていない資産しか対象にできないので注意が必要。実体のある設備に限らず、ソフトウェアなどにも適用できるのがポイントです。

特別減税制度

中小企業を経営しているなら、ぜひ取り入れたい減税制度があるのをご存じでしょうか。その「特別減税制度」には、以下の3つがあります。 ・投資促進税制 中小企業の設備投資を積極的に進めるために設けられた制度です。「1点160万円以上の機器の購入」や「年間でパソコンや周辺機器の購入額合計が120万円を超えた」場合、また「年間のソフトウェア購入額が計70万円を超えた」などのケースに当てはまる場合は、法人税の金額が7%減免されます。 ・試験研究税制 新製品の開発のために試験研究費を支払った場合に、法人税額が減免される制度です。試験研究費の実費だけでなく、材料費や人件費・外注費用も含めることができます。 ・所得拡大税制 従業員への賃上げに対して、法人税・所得税を優遇する制度です。

中古資産の減価償却

この方法は、お金はある程度出て行きますが長い目で見ていけばこの先につながる節税方法です。事業用の自動車を購入する場合、一定期間で原価を償却していく「減価償却」の方法で少しずつ経費に落としていくことになります。新車の場合は法定耐用年数の6年間で償却することになります。 しかし、中古車の場合は「耐用年数の特例」が設けられています。特に4年落ちの車を購入すれば1年ですべての費用が経費になるため、税制面ではかなりお得になるでしょう。とはいえ、年度の途中で購入すると経費で落とせる期間が短くなってしまうので注意が必要です。必要なら早めに購入しておくのが得策といえるでしょう。

この他にも節税の方法は意外にたくさんあります。

  • 小規模企業共済、経営セーフティ共済への加入
  • 青色申告税額控除 など

ただし、節税対策に懸命になるあまり本業が疎かになることは避けたいものです。あくまで事業の収益増を最優先とし、節税のために本業に支障をきたす事態は招かないよう気をつけましょう。

おわりに

今回は、店舗経営に欠かせない売上管理や節税など、資金管理方法のコツをご紹介しました。 売上を伸ばすことも大切ですが、適切な資金管理がなければ無駄が多くなり、店舗経営にも支障が出てしまいます。日頃から売上管理と節税を意識し、収益アップにつなげられるよう習慣づけしましょう。

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