1分でわかる!整体院開業の流れ・開業届けの書き方はこちら

肩甲骨をマッサージしてもらう女性

整体院の開業には必須資格は特になく、専門学校で技術を身につけるなどして施術が行える方ならどなたでも開業できます。しかし、開業するにはまず諸々の準備が必要です。

今回は、整体院を開業する際に必要となる手続きや準備の流れをご紹介します。

整体院開業に必要な資格とは?

整体院を開業するために必要な資格は特にありません。開業届を提出し、申請を行えば誰でも整体院を始めることができます。

しかし、整体院は身体を整え不調を取り除く場所です。開業できたとしても、知識や技術がなければ集客は見込めず、事業を継続することはできません。

整体院を始める前に、整体に関する知識や技術を身に着けることをおすすめします。整体師に関連する資格を紹介するので是非参考にしてください。

一般社団法人国際ホリスティックセラピー協会認定整体師

整体師になるための民間資格は多数存在します。一般社団法人国際ホリスティックセラピー協会(通称IHTA)が主宰している整体師資格もそのひとつです。

取得できる整体の資格は、以下の8種類です。

  • メディカルトレーナー
  • リラクゼーションセラピスト 1級
  • リフレクソロジスト オリエンタルスタイル 1級
  • リフレクソロジスト オリエンタルスタイル 2級
  • ケアセラピスト
  • 美骨セラピスト 1級
  • 美骨セラピスト 2級
  • 筋膜リリースセラピスト

ボディケア、カイロプラティック、リフレクソロジーの3つを軸にした技術を習得可能です。様々なニーズに合わせた施術を行いたい方にはおすすめの資格です。

MTC療術師協会認定整体師

MCT療術師協会とは、プロの整体師やスポーツトレーナーを育成するための専門学校です。厚生労働大臣指定の柔道整復師専門学校提携校なので安心して通うことができます。

MTCでは完全個別指導を行っており、都度質問ができたり苦手な部分に時間を掛けたりすることができます。即戦力となるスキルが最短で身に着けられる点が魅力です。

柔道整復師【国家資格】

柔道整復師は、公共財団法人柔道整復研修試験財団が認定する国家資格です。骨折や脱臼、打撲、捻挫などによって損傷した筋肉や関節、靭帯などを柔道制服術を使って治療を行います。

柔道整復師の資格は、大学や専門学校の養成校で3年以上教育科目を履修し、厚生労働省が実施する国家試験に合格することで取得することができます。

合格率は65%程度で難易度は高めです。資格取得後は、整体院の他にも整骨院や接骨院、スポーツトレーナーなど幅広い分野で活躍することが期待できます。

あん摩マッサージ指圧師【国家資格】

あん摩マッサージ指圧師は、財団法人東洋療法研修試験財団が認定する国家資格です。あん摩、マッサージ、指圧の技術を使い、身体の不調を緩和するための施術を行います。

あん摩マッサージ指圧師は東洋医学の知識を基礎としており、器具を使わず直接身体に触れることで、免疫力や自然治癒力を促し健康へと導きます。

あん摩マッサージ指圧師の資格は、厚生労働省や文部科学省が認可する養成校で3年以上教育科目を履修し、国家資格に合格することで取得できます。

合格率は85%程度なので、比較的取得しやすい資格と言えます。資格取得後は、個人の治療院や介護施設、スポーツ施設などで就労するケースが多いようです。次に紹介する鍼灸師の資格を取得することで仕事の幅が広がるので、併せて取得することをおすすめします。

鍼灸師(はり師・きゅう師)【国家資格】

鍼灸師は、財団法人東洋療法研修試験財団が認定する国家資格です。「鍼(はり)」や「お灸(灸)」を利用し、身体のツボを刺激することで本来の自然治癒力を高める施術を行います。

「鍼灸師」という資格は存在せず、「はり師」と「きゅう師」という2つの資格に分かれています。ただ、「はり」と「きゅう」を一緒に取り扱っている治療院が多いため、主に「鍼灸師」と呼ばれています。

鍼灸師の資格は、はり師・きゅう師の養成校で東洋医学などの教育科目を3年以上履修し、国家試験に合格することで履修できます。

合格率は75%ほどです。資格取得後は鍼灸院や整骨院などがメインですが、美容鍼灸サロンやエステサロン、介護福祉施設など幅広い活躍が期待できます。

整体院開業のための4つの手順

チェックリスト
それでは、まず整体院の開業手続きの流れをみていきましょう。

【1】整体院のコンセプト(方向性)を決める

まず、対象となる客層や施術の価格帯、店内の雰囲気やイメージなど「どのような整体院にしたいか」を具体的に決めておきましょう。

例えば、日々の疲れを癒したいビジネスマンと、スポーツで酷使した体をメンテナンスしたい方とでは必要な施術や雰囲気なども異なります。どのような方に来てほしいかを思い浮かべながら、 目指す店舗のスタイルを考えることが大切です。

【2】店舗物件を探す

コンセプトが明確になったら、理想の立地で物件を探しましょう。街中や駅前が良いのか、車で来院しやすい郊外が良いのかなど、整体院の方向性にマッチした立地選びをすることでターゲット層に合わせた店舗づくりが可能になります。

【3】開業資金を準備する

整体院の方向性や立地を考えながら、並行して開業資金を確保しておくことも大切です。チェーンや大規模経営の院に勤務しながら独立に向け修行している方なら、修行期間中のうちにしっかり貯金し、開業できる資金を準備しておきましょう。

融資を受けての開業を検討している場合は、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」、都道府県など自治体で提供している創業融資などの利用がおすすめです。

【4】集客の準備を整える

コンセプト設計・物件・資金調達が完了し、いざ開業することになった場合であっても、来店しなければ運営は成り立ちません。開業前から、集客するためのルーツを確保しておきましょう。

ホットペッパービューティー等のポータルサイトへ掲載することや、話題の決済方法を増やすことは、開業前であっても準備できます。ポータルサイトや決済代行会社は、売上や来店予約が発生することで費用が発生する「手数料制度」をとっている会社が多いことから、開業したばかりの店舗にもおすすめです。

整体院の開業手続き、何が必要?

整体院の場合、整骨院や鍼灸院などと異なり資格は不要です。技術さえあれば開業が可能なので、「開業届」を提出すれば整体院を開業できます。

開業届の提出先は?

開業届(正式名称:「個人事業の開業・廃業等届出書」)は、開業する整体院の最寄り(管轄下)にある税務署に提出します。ちなみに開業届を提出せずに事業を行っても、原則として罰則はなく、毎年の確定申告を行っていれば問題ありません(2018年現在)。
また、整体院の開業に保健所への届出も不要です。

整体院の開業届(書き方・注意点)

開業届作成中の男性

個人事業主として整体院を開業することを想定し、開業届を提出するまでの流れを簡単にご紹介します。

【1】書式の入手

国税庁のホームページから、「個人事業の開業・廃業等届出書」の書式をダウンロードして印刷します。

【2】必要事項の記入

氏名や事業地(納税地)の住所、マイナンバーや職業・屋号などの情報の他、事業の概要や開業事由などを記入する項目があります。税務署に問い合わせれば詳しく教えてもらえるため、不明点があれば遠慮せずに聞いてみましょう。

【3】身分証明書を用意する

開業の届出をする際には、本人確認ができる証明書が必要になります。
下記書類を手元に準備しましょう。

  • マイナンバーカード、またはマイナンバー通知カード、住民票の写し
  • 運転免許証、またはパスポート、被保険者証

在留邦人の方は在留カード、身障者の方は身障者手帳などでもOKです。これらの写しを提出するか、税務署窓口で確認してもらうかのいずれかの方法を選択ください。

【4】開業届と青色申告承認申請書は控えをとる

開業届・青色申告承認申請書を税務署へ出す際には、コピーの上税務署に捺印してもらった控えを必ず取っておきましょう。控えがあれば事業専用の銀行口座を作るときなどに便利です。

郵送で開業届を提出する際には、コピーに捺印の上返送してもらうよう依頼をして、開業届などのコピーと返信用の切手付き封筒を同封の上送付すると良いでしょう。税務署では本人用の控えをもらえないため自分で準備しなければなりません。

開業届の作成に便利な無料ツール

初めて開業届を書く方や書き方が分からない方は、開業届作成ツールの利用をおすすめします。無料で利用できる便利なツールを紹介しますので、是非参考にしてください。

開業freee


開業freee

開業freee

【個人事業主向け】開業手続きを無料でカンタンに作成できる

利用料金 無料
タイプ クラウド型
作成できる書類 ・個人事業開業・廃業等届出書
・所得税の青色申告承認申請書
・給与支払事務所等の開設・移転届出書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
・青色専従者給与に関する届出書

「開業freee」は、クラウド型会計ソフトの freee株式会社が提供している、個人事業主向けの開業書類作成ツールです。

必要な情報を入力するだけで開業書類を自動作成することができます。丁寧なガイド付きなので、初めて開業をする方でも安心して利用可能です。e-tax(電子申告)を利用すれば、書類の印刷をすることなくオンライン上で開業届の提出が可能です。

また、開業届の他にも「青色申告承認申請書」や、人材を雇用し給与の支払いを行う際に申請が必要な「給与支払事務所等の開設・移転届出書」など、各種書類にも対応しています。

機能や期間の制限もなく完全無料で利用ができるので、開業届の申請を効率化したい方は利用してみることをおすすめします。

整体院開業に失敗しないための3つのポイント

開業した整体院を失敗させないためのポイントを3つ紹介します。

整体院の強みを明確にしてしっかり伝える

前述した通り、整体院は開業届を提出すれば始めることができます。そのため個人経営を含めた整体院は町中に数多く存在しています。

その中で経営を軌道に乗せるためには、他院との差別化がとても重要です。例えば腰痛や肩こりなど特定の部位の施術に実績がある、女性スタッフがいてキッズスペースを完備している、など自身の整体院の特徴や強みは何なのかをはっきりさせましょう。

そしてその特徴や強みを看板や入口、ホームページなどでしっかり訴求し、ターゲットユーザーに伝わるよう工夫しましょう。

技術力の向上に努める

身体の不調を改善させようと来院する人にとって、整体師の技術力は重要な評価ポイントです。

「あの整体院はすごく良かった」という評価によってリピーターが増えたり、知り合いを紹介してくれる人も増えるはずです。さらに良質な口コミが広がることにより、集客数のアップも期待できます。

また、技術力以外にも、病気や疾患に関する知識を日々勉強することも重要です。施術以外の日常生活などにおけるアドバイスを的確に行うことで、安心感や信頼感与えることができるでしょう。

集客数を見ながら施術単価を見直す

開業時に施術単価を決めると思いますが、来院数や売上額によって定期的に見直すことをおすすめします。

施術単価を考える上で重要な指標が「顧客生涯価値(LTV)」です。これは初回来院から通院完了するまでの1人あたりの平均売上を表します。計算式は以下の通りです。

    平均顧客単価×来院頻度×継続期間

整体院において売り上げを上げるためには、顧客単価を上げる、来院頻度を増やす、継続期間を伸ばす、という方向性で改善が必要になるという訳です。

来院頻度の増加や継続期間を伸ばす施策として、広告掲載やクーポン券の配布、DMの定期配信などの実施が検討できます。

ただし、顧客1人を獲得するために発生した集客費用(CPA)は、しっかり把握するようにしましょう。CPAは以下の計算式で知ることができます。

    集客に利用した費用÷来院数

CPAが高くなるとその分利益も減ってしまいます。LTVとCPAを把握し経営可能な施術単価を設定するようにしましょう。

おわりに

今回は、整体院を新規開業する際に必要な手続きについてご紹介しました。資格が不要とはいえ、他院にはないスキルや来院者のニーズに合った店舗形態やサービスが、息の長い経営を続けるためには必要です。

また、経営にあたって業務以外の面での問題点を極力解消しておくことも、スムーズな院の運営には重要。事前の準備と手続きをしっかり行っておき、あとで慌ててしまわないようにしましょう。