夜間飲食店の種別と必要な手続き

夕方からオープンする居酒屋、バー、キャバクラ、スナックなどの「夜間飲食業」は、アフターファイブを愉しむための社交場として、昔から成長を続けてきました

この「夜間飲食店」開業するためには、少し特殊な開業手続きや申請方法が必要になることをご存じでしょうか?今回のコラムでは、風営法に準じた複雑に見える申請方法を紐解いてご説明します。

この記事は・・・
①風営法に準じた申請が必要とされる店舗の種類
②1号営業に属する夜間飲食業開業に至るまでの必要な手続きと注意点

をシンプルにまとめてみました。

風営法に準じた申請が必要とされる店舗の種類

風営法に準じた申請が必要とされる店舗の種類

皆さんがお住まいの街の繁華街には、何軒ほどの夜間飲食店があるでしょうか?小さな店舗スペースで展開することができるバーやスナックは、開業意思がある起業家には人気の業種です。その総数は正式な数が把握できない程入れ替わりも激しく、乱立していると言われています。
風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)のガイドラインに従って開業申請を行わなければいけない業種は以下の通りです。皆さんが希望する業種は当てはまりますでしょうか?

【 1号営業 】

日中夜間問わず営業するカフェやバーなど、施設(空間)を設定してお客様への「接待」を伴う営業スタイルの業種。スナック、ホストクラブ、キャバクラなどの社交飲食店が該当。

【 2号営業 】

上記1号営業のように空間を設定するが、お客様への「接待」を伴わない営業スタイルの業種。照明は10ルクス以下の場合が該当。

【 3号営業 】

上記1号営業のように空間を設定して飲食を伴うサービスを提供し、個別に仕切られた小スペース(五平方メートル以下)で客席を設ける営業スタイルの業種。カップル喫茶などが該当。

【 4号営業 】

遊戯設備やツールを設置して遊戯を提供する営業スタイルの業種。麻雀店やパチンコ・スロット屋などが該当。

【 5号営業 】

上記4号のように設備と空間を設定して、遊戯に用いるものを備えている営業スタイルの業種。ゲームセンターなどが該当。

上記5つの営業スタイルが「風営法」に則ったサービスを展開する事ができます。これは店舗所在地である都道府県の公安委員会に営業許可申請を提出し受理される必要があります。ただし、申請者が1年以上の懲役、もしくは禁錮の刑に処せられ5年経っていない場合、開業の許可を得ることはできません。

男女ともに18歳未満の施設利用は法律で禁じられており、学校、図書館などの保全対象施設や低層一般住宅街の決められた範囲内では営業することが出来ません。
次項では、特に1号営業の飲食業を起業予定の皆さんに、開業までの手続きや注意点をご紹介いたします。

1号営業に属する社交飲食店開業に至るまでの必要な手続きと注意点

必要な手続きと注意点

この章では1号営業に関する飲食業(スナック、キャバクラ、ラウンジ等の社交飲食店)起業を目指す皆様向けに、その申請の流れをご紹介します。

【 開業申請方法 】

社交飲食店と言われる、スナック、キャバクラ、バーラウンジ、ホストクラブは以下のような書類提出が必要になります。種類が多いのですが、一つずつ順番にこなして行きましょう。

■個人申請に必要な書類

申請書関係
・許可申請書
・営業の方法を記載した書類

身分関係の書類
・住民票の写し(申請者・管理者・本籍地入り)
・身分証明書(申請者・管理者)
・登記されてない証明書(申請者・管理者)

誓約書関係
・欠格事項に該当しない旨の誓約書(申請者・管理者)
・誠実に業務を行う旨の誓約書(管理者)

営業所の使用権原関係
・営業所の賃貸契約書のコピー
・営業所の使用承諾書
・建物登記簿謄本

建物・立地に関する書類
・建築計画概要書等の違法建築物でない旨を疎明する書類
・都市計画証明書等の用途地域を証明する書類
・営業所周辺の見取り図

図面関係
・営業所の図面
配置図、照明設備・音響設備・防音設備を示す図、求積図

その他
・飲食店営業許可証コピー
・料金表(メニュー表)コピー
・管理者の顔写真×2枚

主要部分への注意点を以下にご紹介いたします。複雑な書面書き込みはありませんので、ゆっくりと段階を追いながら確認していきましょう。

(1)上記のような公的機関への提出書類は、3ヶ月以内に発行された書類である必要があります。特に謄本や身分を証明するための住民票などは一番新しい本書をご用意ください。

(2)最上部にある「身分関係の書類」は、免許証のコピー等では受理されません。必ず本籍地入りの「身分証明」を本籍がある市(区)役所で取得してください。サンプルはこういう書面です。

サンプル

行政書士陽光事務所(https://kensetsu.fukuoka.jp/fukuoka-gyosei/kensetugyoukyoka/mibunsyoumei

(3)「登記されていないことの証明書」については、各自治体法務局で取得することができる書類です。あまり知られていない書類ですが申請時に必要になり、成人被後見人ではない・被補佐人ではない事を証明する内容になります。

登録されていないことの証明

古物商許可完全マニュアル(https://kobutusho-kyoka.com/blog/%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96/106/

(4)「契約書関係」は風俗営業の人的欠格事由という内容に該当していないという契約書を意味します。雛形は様々ありますので、是非検索して参考となるテンプレートを選定ください。人的欠格事由とはこちらから御確認頂けます(行政書士酒井茂仁事務所HP参照)。

簡単な概要として下記の内容が記載されています。:
刑事事件等、何らかの罪に罰せられ1年以上禁固刑に処せられた人は、出所後5年が経過するまでは申請は承諾されません。また、大麻やコカイン、アヘン、ヘロイン等の中毒者と認定されている人に至っても同様に申請は承諾されません。

申請者の身辺に不都合がある方や、過去に刑法上、罰せられた経緯がある方は所轄の担当部署まで事前に相談する必要があります。
※各都道府県の自治体によってその方法が異なる場合があります

(5)「営業所の使用権限関係の書類」は店舗についての提出必要書類です。「使用承諾書」とは賃貸契約書とは異なり、建物を所有するオーナーからの許可証を意味します。賃貸契約書と使用承諾書は2つで1セットのように扱われますので、必ず両方とも用意する必要があります。

建物登記簿謄本についても、賃貸契約書と使用承諾書に記載されるオーナー名が、登記簿上に記載される所有者欄と同一人物であるか照合する必要がありますので必ず取り寄せておきましょう。

夜間飲食店の種別と必要な手続きのまとめ

まとめ

今回のコラムでは、スナックやキャバクラ、ホストクラブやバーラウンジなど、風営法が絡む社交飲食店に特化し、その開業申請方法をご紹介いたしました。申請手続きの箇所では、膨大な書類を区役所や市役所などから取り寄せる必要があり、このプロセスだけで疲れてしまいそうですね。
しかし、簡単に開業できない業種だからこそ、その難しいハードルを越えていくことで開業後の営業スタイルにも熱が入るのではないでしょうか?

建造物を有するオーナーとの良い関係性を育み、賃貸契約や使用承諾書にサイン頂き、身なりを表す誓約書に署名し、最後に身分証明書類を提出することで、初めて営業(開業)認可が頂くことができます。機械的な作業も多々ありますが、上記の事を一つずつ処理して行く事で、夢にまでみた夜間飲食店を開業することができるのです。
是非、このコラムをご参考とされて実行に移して下さい。