個人事業主の経費はどこまで落とせる?経費の範囲について解説

個人事業主が経費で落とせるもの・落とせないもの・経費計上の際注意したいポイントを徹底解説します。経費の範囲が知りたい個人事業主は必見です!

個人事業主が確定申告をする上で重要となってくる要素のひとつが「経費」です。

「自分の支出はどこまでが経費になるのか」の境目はとても難しく、多くの個人事業主が頭を抱えています。

プライベートな出費まで経費で落としてしまうと、ペナルティとして罰金を払わされてしまう場合もあります。

今回の記事では、そんな経費について「どこまでが経費でどこからが経費ではないのか」「経費で落ちる意外なもの」などについてご紹介していきます。

「経費で落とす」とは?経費を計上する理由

「経費で落とす」とは?経費を計上する理由

では、そもそも「経費で落とす」というのはどういうことなのでしょうか。

経費とは、事業を行う中で発生する支出のことを指します。仕事道具の購入代金、出張にかかるお金、人を雇う際の人件費など、仕事を行う上ではほぼ必ず出費が発生します。このような支出を「経費」として計上することで、支払う税金が安くなるのです。

自宅が仕事場の場合は家事按分で経費計上が可能

自宅が仕事場の場合は家事按分で経費計上が可能

個人事業主の方の中には、自宅で仕事をしているという方も少なくはないでしょう。そういった方は、「家事按分」という制度を覚えておくと得できるかもしれません。

家事按分とは、自宅で暮らす上でかかる家賃や光熱費といった生活費の一部を経費で計上できる仕組みのことを指します。

一般的にプライベートで発生したお金は、経費では落ちません。しかし、中には「プライベートで使用しているけど、仕事でも使用しているし…」と迷ってしまうものもあります。

その代表例が、光熱費です。

たとえば家の電気はプライベートだけではなく、家で仕事をする上でも欠かせないものです。

こういったものについては、その費用の一部を経費として計上することができます。電気代の場合、「週に何日仕事をしているか」「1日何時間仕事をしているか」といった部分から「電気代全体のうち、何パーセントが仕事で使用したものなのか?」を割り出し、その割合分を経費で計上します。

家事按分に明確な公式はありません。しかし、税務署の方に聞かれた際胸を張って主張できるはっきりとした根拠のもと計算する必要があります。

個人事業主が経費で落とせるもの

個人事業主が経費で落とせるもの

「これって経費で落ちるのかな?」個人事業主の方は、物を買うとたびたびこのような考えが浮かぶはずです。

自分がお金を払ったものが経費で落ちるか。それを一発で見分ける方法があります。それはずばり、「この仕事をしていなければ利用しなかったものかどうか」です。

◎イラストレーターの方にとっての、イラスト制作ソフト
◎YouTuberの方にとっての、撮影機材

このように、「仕事で使っている」「この仕事をしていなければ購入していなかったもの」といったものは経費で落ちる可能性が高いです。

また、経費で落ちるのは仕事道具だけではありません。

仕事の中で、お客様と打ち合わせを行うことが多い方もいると思います。レストランなどで打ち合わせを行った際の食事代、及びお客様に買ったお土産も経費で落としやすい出費といえます。

個人事業主が経費で落とせないもの

個人事業主が経費で落とせないもの

次は、個人事業主が経費で落とせない物を説明します。

経費は仕事で使用するものに発生しますが、仕事で使うものすべてに発生するわけではありません。結論から言うと、「この仕事をしていなくても購入していたもの」は経費で落ちない可能性が高いのです。

たとえば、コンタクトレンズはどうでしょうか。

PCを長い時間使用して仕事をする方にとって、目は命です。コンタクトも経費で落とせたらいいのに…と思うかもしれません。しかし、コンタクトは残念ながら経費で落ちない可能性が高いのです。

なぜなら、コンタクトレンズは仕事と関係なく日常的に使用している方が多く、このように仕事をしていなくても買っていたであろう物は、経費で落としにくくなります。

そのほか、「仕事の合間のお昼代」といったものも経費で落とすのは難しいです。食事は仕事をしていてもしていなくても、生きている限り行われる行為だからです。

また、よく「経費で落ちるかどうか」で悩まれるもののひとつに「在宅勤務がきっかけで始めたスポーツクラブ・ジム」が挙げられます。

個人事業主の方の中には、一日中座って作業をしている方も多いでしょう。リモートワークをしていると起こる運動不足解消のために、スポーツジムに通い始めたという方もいるのではないでしょうか。

仕事のために始めたジム代も経費で落としたいところですが、残念ながら個人事業主がジム代を経費にすることは困難です。

ただし、すべての個人事業主がジムを経費で落とせないかと言われるとそうではありません。「ジムに通っている事実が売り上げに貢献している人」であれば、経費で落とすことができます。たとえば、このような方が挙げられるでしょう。

●筋トレに関するブログ、YouTubeを運営している人
●ジムの批評・紹介記事を書いている人
●インストラクターなど、他人に運動や筋トレの指導を行っている人
●そのほか、運動やジムに関するビジネスを行っている人

経費で落ちるか迷った際は、「この仕事をしていなかったら発生しなかった支出か」「この支出を行うことが、仕事の売り上げに貢献しているか」を考えてみることをおすすめします。

経費計上できる意外なもの

ここからは、経費に計上できる意外なものをご紹介します。

経費は、仕事のためにお金を使った際発生するものです。では、旅行に出かけた際の交通費はどうでしょうか。

「そんなもの経費で落とせるわけがない!」と思われてしまうかもしれませんが、職業や旅行先の行動によっては経費で落とせる場合があります。

その一例が、旅行ブログを書いているブロガーや旅行サイトに携わるライターです。旅行を「記事執筆のための出張代」と捉えれば、経費で落とすのも問題ありません。

そのほかには「お茶代」が挙げられます。働く場所がある程度自由に決められるフリーランスの方であれば、カフェで作業するという方も少なくないでしょう。そういった方の場合、カフェで飲んだ飲み物の代金も経費で落とせる可能性が高いです。

ただし、この際にサンドイッチなどの軽食を食べると「ご飯を食べにきた」というカウントになり、経費で落としにくくなる場合があるため十分注意しましょう。

さらに、意外と忘れられがちなのが書籍代です。事業を発展させるため、スキルアップのために書籍を購入する個人事業主の方は多いのではないでしょうか。

経営に関する本など、ビジネスに関する本は経費にしやすいのが特徴です。また、確定申告や節税についての本も経費にすることができます。

経費にできる書籍は、仕事関係だけではありません。一見エンターテイメントの側面が強い漫画や小説なども、事業に役立ったのであれば経費で落とせる可能性があります。

中には物語形式でビジネスについてわかりやすく紹介した漫画や、実際のビジネスで役立つノウハウを含んだ小説もあります。そういったものが事業のサポートをしてくれたと感じたのなら、経費にできるかもしれません。

エンターテイメント関連では、ソーシャルゲームの課金も職業によっては経費にできる可能性があります。

YouTuberの中には、ソーシャルゲームのガチャを引くことをコンテンツとして提供している方も多くいます。そういった方は「ゲームの課金が売り上げに貢献している」と言えるため、経費計上の対象にもなり得ます。ソーシャルゲームの評価・攻略サイトを運営している方も同様です。

また、イラストレーターやゲームプログラマーも課金を経費で落とせる可能性があります。ゲームイラスト・ゲームのプログラムの資料としてプレイしていれば、事業のための調査の一環と言うことができるからです。

経費にならない物を経費と偽るのはもちろんNGです。税務署の方が来た際、きちんと「この経費が仕事にどう役立ったのか」を伝えられることが大切です。

「これは真面目なイメージがあるから経費で落とせる」「これは遊びのイメージが強いから経費では落とせない」と振り分けると、損をしてしまうかもしれません。「業務の役に立っているか?」をしっかりと考え、上手に正しく節税していきましょう。

経費にならないものを計上した場合

経費にならないものを計上した場合

「経費にならないものを間違って計上したらどうなるんだろう?」このように心配されている個人事業主の方もいるでしょう。

経費にならないものまで経費にしてしまうと、最悪の場合ペナルティが課される場合があるので注意しましょう。

流れとしてはまず、税務署の職員が確定申告をしている一部の人のところへやってきます。ここで税務調査を行い、不正な経費計上を行なっていたことがわかると、罰金が発生するというわけです。

この罰金には、税額を実際よりも少なく申告した場合の「過少申告加算税」、税金の不正について隠蔽などを行おうとした場合の「重加算税」などさまざまな種類があります。

それぞれ加算される額は異なり、種類によって未納税額の10〜40%程度の罰金が課されることとなります。

もちろん、「税務調査が入った」=「経費で不正をしている」、というわけではありません。税務署の職員に「この経費はこの仕事でこう役立った」といったことが説明できればOKです。

ちなみに、税務調査では過去7年間の金銭のやり取りが調査されます。経費の証拠となる領収書などは、7年間分しっかりと保存するようにしましょう。

経費として計上するために領収書は必須?

経費として計上するために領収書は必須?

経費を計上するために必要なのものが、領収書です。領収書が「経費を正しく支払った」という証拠品になります。

しかし、経費の中には領収書がどうしても用意できない場合もあります。たとえば、以下のようなケースです。

●電車やバスなどの公共交通機関の運賃
●取引先や関係者へのご祝儀、香典
●取引先と割り勘をした場合のお茶代
●自動販売機で買った飲み物代

そのほか、「領収書を紛失してしまった」というケースも考えられるでしょう。このような場合、どのようにして経費の証拠を残せば良いのでしょうか。

領収書がない場合の記録は、「出金伝票」が便利です。

出金伝票とは、払った経費の内容について自分で書き記しておく伝票のことです。出金伝票は、事務用品を取り扱う店舗で購入することができ、ネットにある出金伝票のテンプレートをダウンロードして使用することも可能です。

出金伝票には、「支払いを行なった日の日付」「支払った相手の名称」「支払い金額」「支払った商品・サービスの概要」を記します。

「出金伝票で済むのなら、領収書やレシートはなくても良いのでは?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、何でもかんでも出金伝票で済ませてしまうことはNGです。

あまりにも出金伝票に頼りすぎると、経費計上の真偽を疑われてしまうこともあります。特に高価なものに関しては、極力領収書やレシートの形で保存するようにしましょう。

個人事業主の経費管理・会計におすすめなサービス

個人事業主の経費管理・会計におすすめなサービス

ここまで、個人事業主の方に欠かせない経費管理の方法について解説してきました。

経費計上はとても大切な作業ですが、手間がかかるのも事実です。たくさん集まった経費の領収書を複雑な帳簿に記載していくのは、決して楽ではありません。

また、かかった経費をどのように計上すれば良いのか悩んでしまうことも少なくないでしょう。確定申告における一連の作業は、手書きで1からやろうとするとかなり大変です。作業を効率的かつ簡単に行いたい方には、会計freeeがおすすめです。



会計freeeは、PCを用いた直感的な操作で確定申告書の作成が可能で、数個の項目を埋めていくだけで簡単に経費の記録ができます。

会計ソフトはWindowsのみの対応であることも少なくありませんが、会計freeeはMacでも操作が可能です。

また、使用するための面倒なインストールは一切不要で、始めたいと思ったその時にブラウザからすぐ利用できます。

簡単操作で確定申告ができる会計freeeですが、それでも不安な方はメールサポートとチャットサポートを利用できます。会計freeeの有料プランなら、プロダクトに関する疑問点の問い合わせを行うことができます。

メールサポートは24時間受け付けている上、「お急ぎ便」を使えば1営業日で回答をもらうことができます。早朝や深夜に働いている方、忙しい方でも安心して利用できます。

そのほかにも電話サポートやヘルプセンターなどさまざまなサポートが充実しており、不安の多い確定申告を徹底的に助けてくれます。

確定申告や経費について心配に思っている方は、是非チェックしてみてください。

おわりに

本記事では、確定申告を行う上で欠かせない経費の計上について解説しました。正しく経費計上を行えば節税にも繋がります。

ただし、プライベートなものまで計上するとペナルティにつながってしまう場合もあります。今回の記事を読んで、「経費か経費ではないか」の判別をしっかりと行っていきましょう。