電子契約・電子サイン・電子署名・電子印鑑とは? コロナ禍の契約に必須な電子契約サービスについて徹底紹介

電子契約サービスをまだ導入していない企業必見! 電子契約サービスとは何か、紙の契約書とは何が違うのか、導入のメリットや注意点、おすすめ国内外で人気の電子契約サービスなどを解説します。

テレワークの普及により、印鑑の押印が必要なく出社の必要もない、電子契約サービスの需要が高まっています。

2020年7月に閣議決定された規制改革実施計画において、すべての行政手続きについて押印や書面提出の見直しの検討が明記されるなど、行政でも脱ハンコの気運が高まっています。

リモートワークに便利なだけではなく、契約書の保存・管理やバックアップ、セキュリティ管理など、紙の書類では難しかった管理が電子化できることで、業務の効率化や契約までのスピードアップも見込めます。

今まさに、紙と印鑑を用いる契約から電子契約へと移行するタイミングが到来しているといえるでしょう。

そこで本記事では、電子契約サービスの導入を検討している中小企業経営者や人事・総務担当者へ向けた、電子契約サービスの特徴やメリット、注意点をわかりやすく紹介していきます。

電子契約サービスとは?

電子契約サービスとは?

電子契約サービスとは、オンライン上で契約を締結できるサービスのことです。

契約業務の効率化を図るために契約前のオンライン上での交渉から、契約締結時に必要な電子署名の付与、契約締結後の契約書の管理・閲覧など、電子契約に関するあらゆる問題解決を提供するのが電子契約サービスです。

そもそも電子契約とは、従来、個人間や企業間で「紙+押印(または自筆の署名)」で締結していた契約書に代わり、電子データの契約書「電子文書(PDF)+ 電子署名・サイン」を用いて契約を交わすことです。

電子契約を導入すれば、契約前の交渉などからオンラインでコミュニケーションできるため、契約業務がスムーズに運びます。契約締結後の契約書の保管・検索・閲覧もそのまま電子化できるため、紙の契約書をデータ化する工程も必要なくなります。

このように、契約前・契約締結時・契約後までの過程がすべて電子化されるため、契約業務全般の効率化を図れるとして、電子契約サービスを導入する企業が増加しています。

「電子署名」「電子サイン」「電子印鑑」の違い

「電子署名」「電子サイン」「電子印鑑」の違い

電子契約に必要となるものとして、電子署名、電子サイン、電子印鑑があります。一見同じ意味に思われますが、厳密には異なる意味のため誤解を避けるためにも正しい意味を理解しておきましょう。

電子署名とは

紙の書類において印鑑やサインにあたるものが電子署名です。法的効力があり、実印に該当するため重要度の高い電子サインです。

本人確認をしたり、内容が改ざんされていないかをチェックしたりするために使用されるため、電子文書においては電子署名の付与が本人承認の証明となります。

電子サインとは

電子サインとは、電子契約において意思表示などをするためのツール、またはそのプロセス全般のことを指します。つまり電子署名は電子サインの一部であるといえます。

タブレットに記す自署サインやメールアドレスとパスワードの組み合わせ、ID承認なども電子サインのひとつで、日常業務でも重要度の低いものに頻繁に使用されます。

電子印鑑とは

電子印鑑には2つのタイプがあります。1つは単純に印影を画像データ化させ、紙文書の押印と同様、電子文書に印影を押印することができるようにしたもの。

もう1つは、印影の画像データに使用者が誰かなどの識別情報も含めてデータ化された印鑑です。パソコンや有料サービスで作成でき、PDFやWord、Excelの文書に押印することができます。

比較的簡単に複製できるというリスクもあるため、トラブル時の証拠としては弱いものです。主に電子署名より重要度が低い文書に使用されます。

電子契約サービスを導入するメリット

電子契約サービスを導入するメリット

急速に需要の伸びている電子契約サービスですが、電子契約サービス導入によるメリットを確認してみましょう。

コスト削減

書面での契約においては、印刷代、インク代、書類の郵送費、印紙代、またそれにかかわる人件費などのコストがかかります。一方、電子契約システムを導入すれば、書面でのやり取りは一切なくなるため、大幅にコストを抑えることができます。

特に、収入印紙代は契約金額の増加に応じて増えるため、大規模な取引をする会社であれば大きな支出といえます。電子契約への切替によって大幅なコスト削減が実現できるのです。

契約関連業務の効率化

電子契約なら、契約書の作成から保管まですべてパソコン上で行えます。ワークフローも明確化できるため、業務の効率化が見込めます。契約更新時や税務調査などで、過去の契約書類が必要な場面は少なからずあります。

書面の契約では、過去の契約書を確認するにも、膨大な書類の中から探し出すのに長い時間を必要とし大変な作業でした。

しかし、電子契約なら、書類管理もすべてクラウド上でデータ化された状態となっているため、検索して即座に確認したい書類を探し出すことが可能です。

契約書締結までのスピード化

書面の契約では、原本と写しを別々に作成するなど多くの作業が必要で、書類の郵送までにはどうしても時間がかかるものでした。

一方、電子契約なら最短1日で契約の締結が可能です。また多くの電子契約サービスではワークフローの流れに沿い、現在どこまで契約業務が進んでいるのかをチェックすることができます。

万が一、業務が止まってしまっている場合にも、確認して先方へ促すことも可能です。

契約書保管場所の削減

書面による契約では、鍵付きの棚などを用意して契約書を安全に保管するスペースを設けなければなりません。

一方、電子契約サービスならオンライン上で書類を保管できるため、オフィスのスペースの有効活用にもつながります。

過去の書類のスキャン機能が付いているサービスであれば、今後電子契約するものとあわせて、今までの契約書もすべてオンライン上での管理が可能です。

コンプライアンス強化

書面での契約の際には、書面が不正に複製されたり改ざんされたりするリスクがありましたが、電子契約はデータ管理されるため、不正にアクセスするとその証跡が残ります。

社内の誰が、どの書面に、どんな変更を加えたのか一目瞭然です。サービス上でデータ管理できることは、複製や改ざんのリスクを下げることができ、コンプライアンスの強化につながります。

テレワークのスムーズな導入へ

電子契約を導入すれば、インターネット上において完全ペーパーレスで作業を進められるため、契約業務を行うための出社は不要となります。テレワークがなかなか進んでいない企業も、よりテレワーク導入が現実的になるでしょう。

電子契約と紙の契約書の違い

電子契約と紙の契約書の違い

通常の契約と電子契約との間には、印鑑の有無をはじめいくつか違いがあります。項目ごとに比較表にまとめました。

紙と押印による契約 電子契約サービス
作業工程 印刷・製本・押印・収入印紙の貼付け・送付 ファイルアップロード・メール送信(クリック数回)
送付方法 郵送もしくは持参 インターネットで送信
締結までのスピード 1~2週間 (※郵送込の場合) 最短1日
保管 書庫 サーバー上
収入印紙 必要 不要
主なコスト 印紙税・印刷・消耗品代・送料・保管コスト・人件費 サービス利用料・人件費
利便性 ・テレワークなど社外での契約事務処理は不可能
・書庫等に社名や管理番号で管理するため検索性が低い
・テレワーク、在宅勤務での契約事務処理が可能
・キーワード検索可能で検索性が高い
安全性 ・物理的に鍵の施錠で管理
・書面の経年劣化は避けられない
・セキュリティが確保されたサーバーでの保管

上記の表でわかるように、電子契約サービスの導入により大きなコスト削減と効率化が見込めます。特に契約締結の多い企業にとっては、早急に検討すべきサービスであるといえるでしょう。

電子契約サービスの主な機能

電子契約サービスの主な機能

電子契約サービスには多くの機能が備わっていますが、代表的なものを紹介します。

電子署名機能

ネット上で契約締結時には、電子ファイルにサインをしただけでは本人のものであるという証明ができません。また、紙の書面に記したサインや印鑑をスキャンで取り込んだとしても簡単に複製や改ざんができてしまうリスクがあります。

電子署名機能には、電子証明書とタイムスタンプを発行する機能があり、それにより間違いなく本人の署名であるという事実を証明することができます。電子証明書とは、書面における印鑑証明のようなもので、タイムスタンプは電子契約がいつ交わされたのかを記録するためのものです。

セキュリティ機能

ネット上はいつでもサイバー犯罪のリスクにさらされています。電子契約においても情報の盗難や紛失、コピー、偽造等の危険が常にあります。

そのため、電子契約サービスにはセキュリティシステムを備えており、暗号化・データバックアップ・IPアドレスの制限・ファイアウォール・アカウント保護等で、あらゆるリスクからシステムを守っています。

情報登録機能

スムーズに契約手続きが行えるように、自社の電子署名に必要な部署・担当者などの基本情報と、取引先の企業情報をあらかじめ登録しておく機能です。

保管機能

作成した文書やスキャンした過去の紙の契約書などをサーバー上に保管する機能です。また、検索機能を用いれば保管されている膨大なデータの中から、キーワードや作成日時などで検索。簡単に必要な契約書や文書を見つけだすことができます。

アラート機能

承認作業が途中で滞っていたり、契約期限の迫っている契約がある場合に、それを知らせてくれる機能です。

電子契約サービス比較時に重要視すべきポイント

電子契約サービス比較時に重要視すべきポイント

電子契約サービスを導入する際には、さまざまな角度からサービスを比較検討する必要があります。

電子契約サービスの料金体系は?

電子契約サービスの料金プランは、月額料金がかかるプランと契約締結ごとに金額が発生する従量課金プランの2パターンに分けられます。

契約締結が多い企業の場合は、月額で一定料金を支払うプランの方がメリットは多いでしょう。契約締結の件数がそれほど多くなくても電子契約サービスを導入したい企業には、従量課金プランがおすすめです。

セキュリティ機能は搭載しているか?

電子契約サービスでは、あらゆるリスクに備えさまざなセキュリティ機能が搭載されています。電子契約サービスで扱う書類は自社のもののみならず、他社との契約書も含まれています。

また、法律により保管期間に規定のある書類もあるため、セキュリティ機能の内容は必ず確認しましょう。

保管ファイルの暗号化やデータバックアップ、ファイヤーウォール、ブロックチェーンなど、さまざまなセキュリティ機能があるため、自社のシステムに必要なセキュリティ強度にあわせて、導入する電子契約サービスを比較検討すると良いでしょう。

電子契約の種類

電子契約サービスは、「当事者型」と「立会人型」の大きくわけて2つの種類があります。どちらの種類の電子契約サービスを導入するかで本人確認の手段が異なるため、注意が必要です。

当事者・・・・電子認証局による電子証明書を用いて契約した当事者が電子署名します。
立会人型・・・利用者の指示のもと、電子契約サービス事業者が電子署名します。事業者署名型とも呼ばれます。

現在扱っている書類が電子契約に対応しているかどうか

電子契約サービスでは紙で管理していたさまざまな書類をWeb上で管理できますが、電子契約サービスによってはWeb上で管理できない書類もあるため注意が必要です。

社内で管理することが多い以下に挙げるような書類は、電子契約サービス上で保管が可能かどうか調査しておきましょう。

<営業・販売関連>
取引基本契約書・サービス利用申込書・請求書/領収書・売買契約・秘密保持契約書

<業務委託・請負関連>
業務委託/請負契約書・代理店契約書・販売特約店契約書・建築請負契約書・注文書/注文請負書

<人事関連>
雇用契約書・労働条件通知書・身分証明書・派遣基本契約書

<会社関連>
株式譲渡契約書・株式交換契約書・事業譲渡契約書・競業禁止に関する契約書

電子契約サービス導入時の注意点

電子契約サービス導入時の注意点

前項でも述べたように、社内で既に使用している顧客管理や会計などの各システムが、電子契約サービスが連携可能かどうかは事前にしっかり確認しましょう。

そして、契約相手の取引先や実際に契約作業を行う社員にとって使いやすいシステムを選ぶことが大切です。経営者や人事・総務部だけの意見で採用せず、契約システムを取り扱う社員にとって使いやすく見やすいシステムの導入が必須です。

また、電子契約サービスの運用開始時には、取引先の手間を極力減らせるように注意しましょう。先方の手を煩わせないよう、なるべく早い段階で電子契約導入の旨を伝え、「いつから切り替えるのか」「基本的な操作方法」などを共有します。

シェア率の高い電子契約サービス6選

シェア率の高い電子契約サービス6選

契約大臣




「契約大臣」は、株式会社TeraDoxが提供している中小企業やフリーランス向けの電子契約サービスです。

「契約大臣」を利用することで、これまでの紙ベースの契約の際に発生していた、印刷代・製本代・収入印紙代・郵送料を削減することができます。
初期費用0円で利用開始することができ、月額が発生しない無料プランもあるため、個人事業主や低価格で電子契約サービスを導入したい企業にもおすすめです。
また、シンプルで直観的な操作性なので初心者でも安心して利用できます。

PCだけではなく、スマホやタブレットからも契約書の締結や確認が可能です。
契約書類はオンライン上に一元管理しているため、リモートワークや出先など様々なワークスタイルに対応しています。

GMOサイン

GMOサイン

電子印鑑GMOサイン(旧:GMO電子印鑑Agree)は、多くの企業のITインフラを支えるGMO運営の電子契約サービスです。充実した機能と安心の弁護士監修で定評のある電子契約システムです。

事業者署名型の「契約印プラン」と、より法的効力の高い電子証明書による認証の当事者署名型の「実印プラン」がセットで用意されているため、契約書の種類に応じて使い分けができます。

テンプレート管理機能・一括作成機能・ワークフロー申請機能・押印機能などに対応しています。無料でお試しもできるため、試験的に利用して導入の検討をするのもよいでしょう。

DocuSign(ドキュサイン)

DocuSign(ドキュサイン)

電子契約・署名サービスDocuSignは、サンフランシスコに本社を置くアメリカの企業で、世界シェアNO.1を誇ります。文書をクラウド上にアップロードし、契約書や申請書への承認や合意をスムーズに実行することができます。

ワークフロー・一括送・パートナー契約・請求書処理・発注書・内部コンプライアンスなどの機能を一通り揃えるほか、印影の捺印など日本語独自の機能にも対応しています。モバイルアプリもあり、スマホやタブレットでも対応可能なのは便利です。

クラウドサイン

クラウドサイン

国内シェアNO.1!導入実績多数のクラウドサインは、無料で契約締結ができるウェブ完結型の電子契約システムです。必要不可欠な機能、テンプレート管理機能・一括作成機能・更新などのアラート通知機能・ワークフロー申請機能などは一通り揃っています。

また、本人確認を強化する二要素認証にも対応しているため安心です。オプションで紙の契約書を電子データ化し保存できる機能もあるため、過去の契約書類の管理も併せて行うことができます。

ホームズクラウド

ホームズクラウド

ホームズクラウドは、国内初のクラウド型の契約マネジメントシステムで、それぞれの分野の専門弁護士が作成した300種類以上のテンプレートを自由に使用できるのが特長です。URLを送るだけで簡単にやりとりが可能で、メールなどの使い慣れたツールで対応できます。

契約書1通の作成・承認・締結・管理のみならず、複数の契約で構成されるプロジェクトすべての進捗管理が可能です。

タスク管理・ステータス把握・アクティビティ履歴・修正履歴のバージョン管理など、業務を効率化できる機能も多数あります。「クラウドサイン」や「DocuSign」との連携がスタートし、それらを使用した契約書の締結もできるようになっています。

NINJA SIGN

NINJA SIGN

NINJA SIGNは、企業の電子契約に関連する業務をワンストップで支援するサービスです。 画期的な点として、Googleドキュメントを使用することで、テンプレートやドラフトの編集がシステム上でできることがあげられます。

ワードファイルではできないことが可能で、例えば自社で修正した箇所が履歴として自動保管されるなど、効率化を実現できます。

他社サービスでは、書類を1件送る毎に料金が発生する従量課金制も多いですが、NINJA SIGNは送信料が無料なため、書類送信件数が多い企業にお勧めです。

おわりに

コロナ禍の影響を受け、ソーシャルディスタンスやリモートワーク推進の意味でも電子契約サービスの導入を進めている企業は増え続けています。

電子契約サービスの導入を検討されているなら、多様な電子契約サービス会社の中から自社にふさわしいサービスを選ぶようにしましょう。