青色申告の個人事業主がクレジットカード払いをした際の仕訳方法について
会社経営におけるランニングコストとイニシャルコストの重要性とは?細かい支出管理で健全な会社経営を
「ランニングコストが高い」「イニシャルコストを抑えたい」などコストの問題は、会社を運営していく上で必ず課題となる点です。
ビジネスにおいては、良いサービスや良い商品を提供するだけでなく、常にコストを意識することが大切です。
イニシャルコストとランニングコストを理解し損益分岐点を把握することは、中長期的な視野の獲得につながります。トータルコストの観点から、健全な運営を進めていきましょう。
ランニングコストとは、運用・維持・管理費を意味します。主に定期的に必要となる資金のことを指し、ビジネスにおいては事業の継続に必要な費用全般を指します。
運営を維持していく限り発生し続ける継続的な費用となるため、支払いが滞ることのないようあらかじめ計算し準備しておくことが重要です。
ランニングコストの略称として、Running Costの頭文字をとって「RC」と呼ばれることもあります。
ランニングコスト
語源・・・英語 running cost
意味・・・運用費、維持費、管理費
類語・・・固定費
対義語・・イニシャルコスト
イニシャルコストは初期費用を意味し、何か物事を始めるにあたり、最初にかかる費用のことを表します。
ランニングコストとイニシャルコストの違いは、「1回だけ支払う費用か、継続的な費用か」です。
例えば、自動車を購入した際に最初に支払う代金、車の購入費用・税金・手数料などがこれにあたります。一方、ガソリン代・修理費・車検代など継続的に支払う費用がランニングコストになります。
英語のInitial Costから、略称「IC」が用いられることもあります。
イニシャルコスト = 初期費用ですが、事業を運営していく中で発生する新たな導入費用もイニシャルコストにあたります。
イニシャルコストはこの2つの意味合いで使用されます。
例えば、「新しいシステムを導入する」場合の導入費は初期費用でありイニシャルコストです。一方、同じ新しいシステムの保守・運営費はランニングコストにあたります。
イニシャルコスト
語源・・・英語 initial cost
意味・・・初期経費、初期費用、初期投資
類語・・・初期費用、初期コスト
対義語・・ランニングコスト
企業の立ち上げにおいてイニシャルコストを抑えることはとても重要になります。できる限りイニシャルコストを抑えることで、黒字に繋がりなりやすくなるためです。
オフィス運営においてどんな項目がイニシャルコスト、もしくはランニングコストに当たるのかをまとめました。
会社設立時には「登記」を登録する必要があります。その際に必要なのが登記費用となります。
登記費用は、設立する会社の形態や種類(株式会社や合同会社など)によって異なり、株式会社は他と比較して費用が高くなります。なお、個人事業主の場合は登記費用が不要です。
事務所を構える場合には、賃貸契約を結ぶ際の敷金・礼金、仲介手数料、前払い家賃などが必要となります。毎月の賃貸費用はランニングコストになります。
オフィスを構えれば、デスクやチェア等の家具類や、パソコン・コピー機・ファックス・電話等の事務機器など、仕事をするために必要な環境を揃えるための費用がかかります。ネット回線の工事費や社用車の購入費なども設備費用となります。
起業を成功させるために効果的な広告費・宣伝費も大切な初期費用のひとつです。新しく始めた事業が世に認知されなければ売上につながらないためです。ホームページ制作と開設、会社のロゴ作成、名刺作成などが広告宣伝費にあたります。
オフィスの広さや立地条件により金額はさまざまですが、ランニングコストの大きな部分を占める費用のひとつが毎月の家賃になります。継続して家賃を支払い続けていく必要があります。
オフィスの運営で欠かすことができないのが電気代・水道代・ガス代などのインフラにかかる経費です。個人事業主として自宅で仕事をする場合も、もちろん掛かります。電気代に関しては、電力会社の自由化によりさまざまな選択が可能な今、大きく削減できる場合があります。
プリンター・コピー機のインク代やトナー代、コピー用紙や文房具代、社用車のガソリン代などが消耗品にあたります。例えば、複合機のリース代や新聞代、ウォーターサーバーボトル代、モップやマットのレンタル代などの定額制サービス利用料金などもランニングコストになります。
人を雇えば人件費がかかります。継続して支払わなければならないランニングコストのひとつで、大きな割合を占める項目です。オフィスで働く従業員の通勤コストも忘れてはなりません。郊外物件の格安賃料に惹かれたために、思わぬランニングコストの増加に悩まされるケースもあるので注意が必要です。
企業によりITシステム費用のカテゴリーは異なりますが、電話代(固定電話・携帯)、ネット回線月額使用料から、ハードウェア・ソフォトウェア保守費用、データセンター関連費用、開発および運用の人件費などがあります。
法人の場合、主に所得に対して課せられる法人税・法人住民税・法人事業税・消費税・源泉徴収額など、税金を納税する義務があります。
オフィスにおけるコスト削減方法はさまざまありますが、今すぐに取り組める有効なアイディアを別ページにてご紹介しています。中小企業の経営者や総務・経理担当者は必見です。
事業を運営していく上で最も重要といえるのが、「安定した売り上げを維持していくこと」です。しかし、売上は必ずしも計画通りに得られるものでもありません。
そのため、開業準備に売上を見込んでイニシャルコストに多くの費用をかけてしまった場合、開業後にかかるランニングコストの確保ができず、経営困難に陥る可能性があります。
ランニングコストにはある程度の余裕を持たせ、売上の下振れも考慮したコスト計画が大切です。
資金に余裕がある場合は問題ないかもしれませんが、その場合でも長期的な事業発展を考えるのであれば、イニシャルコストとランニングコストのバランスが重要です。その指標となるのが損益分岐点となります。
損益分岐点とは、かかる費用が収益でカバーできて損益が「0」になり、それ以降は利益が出るという金額を知るために計算されるものです。損益分岐点売上高とも呼ばれます。
損益分岐点ちょうどの売上をあげた場合は、「損失は出ていないけれど、利益も出ていない状態」となります。要するに「最低でも損益分岐点に到達するだけの売上をあげられれば、赤字にはならない」ということです。損益分岐点の数値は低ければ低いほど良いということになります
損益分岐点は以下のような数式にあらわすことができます。
イニシャルコストは固定費、一方、ランニングコストは変動費に分類されます。
この固定費が、損益分岐点を決めるうえで重要な要素となります。イニシャルコストを含めずに損益分岐点を算出した場合は、正確な利益を計上することができず、いつまでも赤字という状態になるためです。
経営において黒字と赤字とを正確に把握できているかどうかは極めて重要なことです。正しい損益分岐点を算出するために、イニシャルコストを含めたうえで計算しなければ不可能です。
実際の売上高に対する損益分岐点の割合を「損益分岐点比率」といいます。
例をあげてみましょう。
この場合、コストの総額が80となるため、損益分岐点は80です。
損益分岐点比率は、80 / 100 = 80%となります。
損益分岐点比率は、低ければ低いほど望ましいといえます。損益分岐点比率が下がると利益が大きく出るためです。
企業の経営は、内部の変動はもちろん、さまざまな外的要因により業績が変動するリスクがあります。
特に外部環境の変化、経済状況・世界情勢・政治情勢・技術革新の影響などは、業績への影響は大変大きいものです。これは企業側でコントロールは不能で、短期的な企業努力ではどうにも対応できないことも多い領域です。
そのような不可抗力の変化により売上高が減少してしまった場合にも、損益分岐比率が充分に低い水準にある場合、企業は利益を出し続けることができます。
損益分岐点や損益分岐比率は、環境変化という不可抗力に対する企業の耐性を表しているともいえるでしょう。
では損益分岐率を引き下げるにはどうすればよいのでしょう。損益分岐点を改善する(利益が出やすい状態にする)ためにできることは以下の2つです。
費用を減らすという点で、重要になるのがトータルコストです。
ランニングコスト・イニシャルコストのバランスが不適切な場合は、それだけ黒字になるまでの期間も長く、金銭的リスクも高い状態が続くということです。
企業の運営で物事を決定する際には、実際にかかる費用を整理して全体像を理解するためにトータルコストを意識することが重要です。トータルコストは以下のような式で表すことができます。
トータルコスト = イニシャルコスト + ランニングコスト
経営者は損益分岐点を計算し、売り上げ目標や人件費などを決めていきます。
例えば、月のランニングコストが50万、収益が100万の場合、利益は50万と考えがちですが、忘れてはいけないのがイニシャルコストです。
開業の際に2000万のイニシャルコストがかかっていたとすれば、毎月100万の利益をあげたとしても、イニシャルコストをすべて回収するには40ヶ月かかる計算になります。
一方、経営を長く継続させていくためには、ランニングコストも重視しなければなりません。イニシャルコストを極力抑えたがために、ランニングコストが想定以上にかかってしまったという失敗もよくあります。
また、ランニングコストを抑えようと人件費や原材料費を削った結果、商材の品質が下がり売り上げが落ちてしまっては元も子もありません。
イニシャルコストを抑えることはもちろん、維持費となるランニングコストも考慮し「トータルコスト」としてバランスよく削減に努めることが大切です。
イニシャルコスト・ランニングコストの意味や違い、損益分岐点とトータルコストの重要性についてまとめてきました。
まずは、売上予測とトータルコストから損益分岐点を割り出し、損益分岐点比率を下げるために、今かかっているコストがどのくらい削減できるかを考えることが会社運営には非常に重要な事項です。会社経営のための参考にしてみて下さい。