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会社売却を検討中の経営者の方へ、売却相場の具体的な計算方法について解説します。
また売却方法の種類やメリット・デメリットなど、会社売却を実行するうえで知っておくべき重要なポイントについても参考にしてください。
さまざまな事情から会社売却を検討する経営者の中には、売却額の相場や高く売却するための方法が知りたいという方も多いでしょう。
少しでも高く会社売却を行うためには、売却方法の違いや相場の計算方法、また高い評価額を目指すためのポイントを知ることが重要です。
本記事では、会社売却を成功させるためのさまざまなポイントについて詳しく解説しています。
会社売却とは、会社の所有権を第三者に売却して対価を得ることを指します。売却された会社は、新たな経営者のもとで存続することができます。
また売却方法によって、売却対象となるものや対価の受領者が異なります。
会社売却の手段として、中小企業の多くが利用する方法が「株式譲渡」です。
売り手企業が株式の過半数もしくは全部を売却することで、会社全体の経営権が買い手企業である第三者に移行します。
株式譲渡による利益は、元の株主が受け取ります。株主が法人の場合は法人税等の対象に、また株主が個人の場合は所得税および住民税の課税対象となります。
尚、株式譲渡は非課税取引と定められているため、買い手企業に対して消費税の納税義務はありません。
参考:タックスアンサー No.6201 非課税となる取引 | 国税庁
「事業譲渡」とは、会社の一部の事業を第三者に売却する方法で「事業売却」と呼ばれることもあります。
売却対象の事業に関連する物的資産(商品や設備)、人的資産(従業員)、更に取引先などを含めて買い手企業に譲渡するものです。
事業譲渡による売上利益は売り手企業の利益として計上され、法人税の課税対象になります。また、株式譲渡と異なる点は、売却する資産の内容によっては消費税の負担が必要になることです。
<個人事業主の税理士報酬の相場>
株式譲渡 | 事業譲渡(事業売却) | |
---|---|---|
売却対象 | 会社全体=過半数以上の株式 (すべての株式) |
特定の事業 (関連する資産も含めて) |
売却益の受領者 | 株主(個人もしくは法人) | 会社(法人) |
税金 | ・個人の場合:所得税・住民税 ・法人の場合:法人税等 |
・法人税等 ・資産によっては消費税 |
尚、株式譲渡による売却を「会社売却」、事業譲渡による売却を「事業売却」という表現をもって区別することも珍しくありません。
会社の売却額の相場を算出するための代表的な計算方法を解説します。
純資産法とは、企業の保有する資産を基に売却額を算出する計算方法です。
会計上の数字を根拠とするため客観的な評価が可能で、中小企業の会社売却額の際によく使用されます。
純資産法による計算式は以下の通りです。
◆売却額の相場=時価純資産+(単年度の営業利益+役員報酬)×2~5(年)
◆売却額の相場=事業資産+単年度の事業利益×2~5 (年)
純資産法による相場の算出は比較的容易ですが、帳簿上では見えてこない会社の資産を含めることができません。
しかし、実際には両者の合意さえあれば売却は成立します。事業が小規模の場合は特に、相場額はあくまで目安となるようです。
売却する会社や事業の規模が大きくなるほど、より正確な計算方法が求められます。会社売却のもっとも正確性の高い計算方法として、DCF(=ディスカウント・キャッシュ・フロー)が有名です。
DCF法は、会社や事業が将来生み出すであろうキャッシュフローを現在価値に割り引く方法です。より具体的な数字を算出するために、現在の資産や事業計画書などを採用します。
DCF法による計算プロセスは以下の通りです。
DCF法を採用することで、純資産法には含まれない将来性や無形資産を考慮した相場額を算定することが可能になります。
前項で解説したように、一般的な売却額の目安を算出することは可能です。しかし相場以上の高値で会社売却するためには、以下のようなポイントを押さえておくことが重要です。
会社売却は、会社の業績が良く、財務状況も安定しているタイミングで行うことが理想的です。
買い手の立場で考えれば当然、運営状況が好調でリスクが低い会社を買い取りたいと考えるものだからです。
そのため、誰が見ても明らかな数字として現れる業績や財務状況は、会社を高く売却するためにもできる限り整えておく必要があります。
買い手にとって魅力的であれば、買い取りを希望する企業が複数集まり、それに伴って売却価格が上がることも期待できるでしょう。
既に業績が悪化している会社が倒産を免れるために売却するなどのケースを除いては、売却のタイミングを慎重に見極めることが重要です。
業績など具体的な数字で表せるもの以外にも、会社の価値を高める要素は存在します。
たとえば以下のようなものは、買い手にとっても価値があり、会社の評価額に影響を与える貴重な強みであるといえるでしょう。
これらを同時に買い手企業に引き渡すことで、売却額を上げることが期待できます。自社ならではの強みを理解し、積極的にアピールしましょう。
会社の価値を理解してくれる相手に売却することも重要です。同じ会社であっても、買い手によって評価が変わることがあるためです。
高い評価をしてくれる相手の具体例としては以下の通りです。
同業者は、他業者には伝わりにくい業界ならではの考え方や価値観を共有できます。更に売却したい会社の本質的な魅力や、売却に至る事情も理解してくれるでしょう。
一方で、同業者だからこそ厳しい視点で評価される可能性があることも事実です。
「シナジー効果」とは、双方の価値を併せることで更に魅力が高まることを意味する言葉です。
売却を行う会社の価値が、買い手企業にとって相乗効果を期待できるようなものであれば、高く評価されるでしょう。
会社内の一部の事業を売却する場合、該当の事業を子会社化することで高く売却できるケースもあります。
前述した通り、事業譲渡は会社全体を売却する株式譲渡に比べて買い手の税負担が大きいものです。そこで譲渡する事業を切り離して子会社化し、子会社ごと売却することで税負担の少ない株式譲渡による売却が実現します。
税負担が少ないことは買い手にとって大きな魅力であるため、その分評価額を高く見積もってもらえる可能性があるのです。
【相場よりも高く会社売却するためのポイント】
売却のタイミング | ・業績が好調 ・財務状況が安定している |
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売却価格を上げる価値 | ・人的資源:高いスキルや技術をもつ従業員など ・物理的資源:商品、設備、備品など ・情報:独自のノウハウや顧客データなど ・知的財産:特許技術や商標など |
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売却相手 | ・価値を理解してくれる同業者 ・シナジー効果を期待できる企業 |
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売却方法 | 事業譲渡は子会社化してから株式譲渡 (買い手の税負担が減る) |
無事に会社売却が完了すれば、売却利益を得ることができます。
株式譲渡による会社売却の場合、一般的に多くの株式を所有している創業者や現経営者などが対価を受け取ります。
一方で事業売却の場合、企業の利益として計上されます。新たな事業展開の資金にしたり、場合によっては赤字を補填したりするための費用に充てることができます。
会社の経営状況が思わしくない場合、倒産を防ぐ目的で会社売却が行われることもあるでしょう。株式譲渡による会社売却では、負債も含めて譲渡することになります。
また事業譲渡によって得た売却益で他事業の負債を返済したり、新たな事業の資金にしたりするなどの選択も可能です。
倒産の危機を逃れることは、従業員や取引先を守ることでもあります。
後継者不在の問題を解決するための方法としても、会社売却は有効な手段です。
無理に後継者を探すよりも、会社売却によって新たな経営者に引き渡すことは合理的な手段であるともいえるでしょう。
株式譲渡をすることで、法人名を存続させたまま経営権を移すことができます。
経営者は通常、会社が融資を受ける際の保証を個人でも請け負っており、大きな負担となっています。
会社売却によって元の経営者の個人保証は解除され、買い手企業の手に渡るのが一般的です。
会社が新たな経営者にわたることで、売り手企業と買い手企業それぞれの力を合わせた相乗効果が期待できます。
たとえば、技術力はあるものの資金不足のため会社売却を希望するA社を、資金力にゆとりがあるB社が買い取ることで、売り手と買い手の良さを活かして効率のよい事業展開が可能になります。
このように双方の利点を活かして生まれる相乗的な効果を「シナジー効果」と呼びます。
会社を売却した側の企業は、その後の事業展開に制限が設けられてしまいます。
会社売却時の契約内容として設けられることの多い「競業避止義務」は、売却した事業の競合となりうる事業を行うことを禁止するものです。買い手側の企業の利益を守るため、売り手側には特定の期間や範囲においての事業展開に制限が設けられます。
特に事業譲渡による売却の場合、譲渡した日から20年間は、同一および隣接する市町村の区域内において同一の事業を行ってはならないとされています。これは会社法第21条によるもので、契約書の記載内容に関わらず適用されるため特に注意が必要です。
会社売却は、契約が締結して終わりというわけにはいきません。
特に事業譲渡の場合、買い手側企業が事業を引き継ぐまでのサポートを求められることがあります。たとえば売り手企業の経営者に、一定期間は買い手企業側で働くことを契約の条件とされるなどが考えられます。
事業内容や規模などによっても異なりますが、売却後数年におよんで買い手企業へのサポートを求められることもあるのです。
このように会社売却では、契約が成立した後の事業展開や経営者の動向に制限がかかってしまうというデメリットがあります。長期的な視点をもって許容できるかどうかよく検討する必要があるでしょう。
【会社売却のメリット・デメリット】
メリット | ・売却益を得られる ・会社の倒産を逃れる ・後継者不在問題が解決する ・個人保証が解除される ・売り手と買い手の相乗効果が期待できる |
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---|---|---|---|
デメリット | ・売却後の事業展開に制限がある ・買い手側企業のサポートを求められる |
会社売却では、売り手企業と買い手企業の経営者同士の相性も重要です。
売却に至る過程で深いコミュニケーションを必要とするほか、事業譲渡の場合は特に、売却後も一定期間は買い手企業に関わるケースも珍しくないためです。
また買い手にとっては、売り手である自身を評価していることを忘れず、誠意ある対応を心がけるようにしましょう。
このように会社売却では、評価額や条件だけでなく、信頼のおける相手であるかを確かめることも売却を成功させるために重要なポイントです。
会社売却の契約をスムーズに行うためには、M&A仲介会社を活用しましょう。
M&Aとは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略であり、企業の合併や買収に伴う契約を仲介するのがM&A仲介会社です。
M&A仲介会社を通すことで、適切な売却方法を相談したり、複雑な契約内容について専門的な立場からアドバイスを受けたりすることができます。
尚、売却対象の事業内容や予算などによって、適するM&A仲介会社は異なります。自社に合うサービスを探してみてはいかがでしょうか。
会社売却は、会社の所有権を移行する株式譲渡や、一部の事業のみを売却する事業譲渡などの方法を用いて行われます。
中小企業の多くは、企業の保有する資産を基に売却額を算出する純資産法を採用することが一般的です。更に会計上には表れない人的資産や知的財産など、その他の経営資産を強みとして、更に高い売却額を目指すこともできるでしょう。
また、売却相手や売却するタイミングについての見極めも、重要なポイントです。契約には複雑な専門知識も必要になるため、売却を成功させるためにはM&A仲介会社の活用なども検討するとよいでしょう。