青色申告の個人事業主がクレジットカード払いをした際の仕訳方法について
「エステサロンを開業したいけれど、何から始めればよいかわからない」
「エステの技術には自信があるけれど、サロンを運営していくのは不安がある」
エステサロンなどの美容業界では若くして独立を考える方も珍しくなく、それゆえに開業に関する悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
長く経営を続けるためには、開業前からしっかりと経営戦略を練り、それに合わせた準備を行う必要があります。
本記事では、エステサロンを開業するための事前準備について解説します。
初めてのエステサロン開業を控えている方はぜひ参考にしてください。
エステサロンの開業を考える際に、今後の需要について不安に感じる方も少なくないでしょう。
株式会社矢野経済研究所の調査によると、2020年は前年比94.7%と縮小したエステサロンの市場規模は、2021年には前年度比101.3%と回復傾向を予測しています。
引用:エステティックサロン市場に関する調査 | 株式会社矢野経済研究所
このような背景から、終わりの見えないコロナ禍においても、エステサロンは癒しの場としての役割を期待されています。
エステサロンの開業を考えているのであれば、事前に以下の3点について考えておく必要があります。
これらが曖昧なまま開業準備にとりかかってしまうと、途中で計画の変更が必要になったり、開業したものの経営が立ち行かなくなったりすることも考えられます。スムーズな開業準備を行うためにも、必ず事前に確認しましょう。
実は、エステティシャンになるために必ず取得しなければならない資格はなく、エステに関わる国家資格は存在しません。
しかしより質の高いサービスの提供や実績をアピールして集客につなげるためには、専門学校で学んだり、民間の資格を取得したりすることが一般的です。
またエステサロンでの実務経験を積んでから独立してサロンを開業することも珍しくありません。
顧客の立場になって考えると、何らかの形で実績がわかるエステサロンの方が安心できるのは間違いないでしょう。
また例外として、以下のメニューをエステサロンで提供する場合には資格を所有している必要があるので注意が必要です。
資金面の計画を立てておくことは、長くサロンを続けるためにもとても重要です。
開業までの費用だけでなく、その後サロンを運営してくための運用コスト、また売上からどの程度の税金を支払うことになるのかを予め知っておきましょう。
場合によっては、資金調達のための融資を検討する必要が出てくるかもしれません。
開業にかかる費用は、どのようなエステサロンを開業するかによって大きく差があるものです。
・店舗:自宅サロンかテナントを借りるのか
・内装工事:リフォームは必要か
・スタッフの人数:自分1人で運営するのか従業員を雇うのか
・エステ機材:購入するのかレンタルするのか
・集客方法:ホームページは自作するのか外注するのか
・経理:税理士に依頼するのか
以上の項目を具体的に検討し、どのくらいの費用を準備するべきか、融資を受ける必要があるかどうかを早めに判断しておきましょう。
エステサロンをオープンした後は、たとえ思うように集客できなくても固定費はかかり続けます。毎月必ずかかる費用についても、事前に把握しておきましょう。
・店舗の家賃(賃貸の場合)
・水道光熱費
・通信費(電話代、インターネット接続料金)
・従業員への給料(スタッフを雇う場合)
・サービス利用料(レジシステムや経理ソフトなど)
また、売上に対してどの程度の利益が得られるのかを知っておくことも重要です。
以下の記事では、エステサロンの資金計画に役立つ利益率と原価率について解説しています。
エステサロンを開業するということは、事業者として税金を納めることになります。
企業に雇われている場合、税金は給与から天引きされることが一般的です。
しかし事業者は、売上や経費を自身で計算し、支払うべき税金を申告する必要があります。
支払うべき税金の種類やどのくらい税金を支払う必要があるかについては以下の記事を参考にしてください。
エステサロンを開業するにあたり、市場の状況や競合を調査することはとても重要です。
たとえ技術に自信があっても、市場にマッチしなかったり、似たようなコンセプトの競合が既にあったりする場合は
サロンをオープンしようとしている地域について、以下について確認してみましょう。
市場や競合を調査し、自分のサロンだけの強みを見つけたうえで開業準備を始めましょう。
以下の記事では、個人サロンの経営戦略について解説していますので参考にしてください。
実際に開業準備を進めていくための基本的な流れを解説します。
よさそうな物件が見つかったことから準備を始めることも想定されるため、順序については必須ではありません。
事前に行った市場調査、競合調査を踏まえたうえで、エステサロンのコンセプトを設定します。
コンセプトは、エステサロンの方向性を定めるために重要なものです。ここで決めたコンセプトは、余程のことがない限り変更しないようにしましょう。
開業準備において選択を迫られた際に「コンセプトに合っているのはどちらか」を判断基準にすることができます。
コンセプトを表す屋号(この場合は、エステサロンの店舗名)をこの時点で決めておくのもよいでしょう。
エステサロンのメインターゲットとなる客層を想定します。
ターゲットを明確にすることで、施術メニューの内容や料金が導き出されるでしょう。
例えば20代前半をターゲットとする場合と、40代以降をターゲットとする場合では顧客の抱える悩みも、美容にかけられる費用も異なります。
ターゲットは自身の都合で選ぶのではなく、競合調査で得た情報を基に設定することが重要です。
事業計画書は、これからエステサロンをどのような計画をもって運営していくかを書面で表すものです。
資金の融資を受ける際には提出が求められるため、必要項目をしっかりと記載しておくことが重要です。
事業計画書の書き方については、以下の記事で解説しています。
また地域によっては、商工会が事業計画書の作成について相談にのってくれることもあるようです。希望する場合は最寄りの商工会に問い合わせてみましょう。
金融機関からの融資を受けることを希望する場合、求められる書類などを揃えて提出します。審査に時間がかかることもあるので、ゆとりをもって申し込むようにしましょう。
日本政策金融公庫の行う「新創業融資制度」は、新事業の立ち上げおよび開業初期の事業者を支援する融資制度です。融資された資金は、ものは開業準備のための設備費用や、開業後の運営資金に充てることが可能です。
担保や保証人が不要で申し込みやすい制度なため、検討する価値はあるでしょう。申し込みの条件など詳しくは、以下のページを参考にしてください。
自宅の一部を利用する場合を除いて、サロン運営に適した物件を契約することになります。立地や広さ、築年数などから大きく差が出る部分ですので慎重に選びましょう。
当然のことながら、売上額に関わらず家賃は毎月必ず発生します。どんなに理想的な物件でも、エステサロンの家賃が経営を脅かすほどになってしまっては長続きしません。
また相場より安く借りることができても、リフォームに多くの費用がかかることで想定よりも多くの費用が必要にならないかも気をつけたいものです。
同業者が使用していた設備が残された「居抜き物件」は、内装工事費用を抑えるのに有効です。しかし退去した理由がサロン経営にとってマイナスなものであった場合には注意が必要です。
例えば集客が難しくて廃業したのであれば、それを踏まえてカバーできるだけの戦略が必要になるでしょう。
また店舗用の物件ではなく一般の賃貸物件をサロンとして利用したい場合には、貸主によって条件が求められることがあります。必ず契約前に確認しましょう。
エステサロンの内装は、設定したコンセプトからズレていないことが重要です。また経営者自身の趣味ではなく、あくまでターゲット層に好まれる空間づくりを目指しましょう。
どのようなコンセプトであっても、共通して取り入れたいのは以下のようなイメージです。
もっとも重要なのは清潔感です。壁や床は手軽に拭き掃除ができる素材を選んだり、効率よく掃除ができるような内装にしたりするのもよいでしょう。またファブリック類に汚れの目立ちにくい色を選ぶなど、インテリア面でも工夫ができます。
エステサロンを訪れる人の多くは、日常生活から解放されたいと感じているものです。特に自宅の一部をエステサロンとして改装する場合、生活感あるものが目に入らないようにするなどの注意が必要です。
エステサロンは、力を抜いてリラックスできる場所でることが理想的です。たとえ「高級感」がコンセプトの場合でも、緊張感を与えるような空間になってしまっては、また訪れたいと感じてもらうのは難しいでしょう。
なおエステメニューにマツエクを含む場合、内装工事の前に保健所へ相談が必要です。保健所が定める基準に沿っていないと、再度工事が必要になることもあります。必ず事前に確認しましょう。
提供するメニューに合わせたエステ機材を導入します。
開業時に準備できる資金と相談しながら、無理のない範囲で揃えるとよいでしょう。新品の機材を購入しなくても、レンタルやリースという方法もあります。
導入方法別のメリット、デメリットは以下の通りです。
導入方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
レンタル | ・支払月額が一定 ・購入前にお試しできる |
・長期的に見ると割高 ・機材の選択肢が減る |
リース | ・購入前にお試しできる | 契約期間のしばりがあることも |
購入 | 新品が手に入る | メンテナンス代、故障時の修理代なども必要 |
サロン内の準備が整ったら、集客のための経路を確保します。近隣地域へサロンの開業を知らせるポスティングなどに加え、近年ではWebによる集客は欠かせません。
以下の記事では、エステサロンにも取り入れることのできるWeb集客の方法について解説しています。併せて参考にしてください。
また地域を絞ってエステサロンを探している顧客に対しては、サロンの情報をGoogleマップへ登録することが有効です。
以下の記事では、Googleマップへ店舗情報を表示するために必要なGoogleマイビジネスへの登録方法を詳しく解説しています。
クレジットカードをはじめとするキャッシュレス決済はぜひ導入したいものです。
エステ代金の支払い方法に現金以外の選択肢があることは、顧客にとってだけでなくサロン運営者にとってもメリットがあります。
以下の記事では、クレジットカードを導入するメリットと導入方法について解説しています。
また近年増加しているクレジットカード以外のキャッシュレス決済を検討する場合は以下の記事も参考にしてください。
開業前から免責同意書を作成しておくことはとても重要です。エステサロンにおいて免責同意書は、施術に関するリスクや想定されるトラブルを予め顧客に説明し、同意を得たことを示すものです。
免責同意書があることで、施術に関連するトラブルが発生した際の責任の所在を明らかにすることができます。
免責同意書に必要な項目など詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
エステサロンのオープン日が決まったら、事業を始めることを届け出る「開業届」を提出しましょう。提出期限は、開業日から1ヶ月以内と定められています。
開業届の書き方など詳しくは以下の記事で解説しています。
また、確定申告の際に節税効果の高い青色申告の届け出を同時に行うことが一般的です。開業日から2ヶ月過ぎても届け出がされていないと、その年は節税効果の低い白色申告しかできなくなってしまうので注意しましょう。
青色申告と白色申告の違いについては以下の記事で解説しています。
なおエステサロンの開業には、飲食店のような営業許可の申請は必要ありません。
ただし、エステサロンで提供するメニューにマッサージやマツエク(まつ毛エクステンション)、顔剃りを含む場合は、別途保健所への届出義務が発生します。
届出書の正式名称 | 内容/提出期限/提出先 |
---|---|
個人事業の開業届出・廃業届出書 | ・内容:新たに事業を開始したことを届け出るもの ・期限:開業日から1ヶ月以内 ・提出先:税務署 |
所得税の青色申告承認申請書 | ・内容:確定申告で青色申告をするための承認を受けるためのもの ・期限:開業日から2ヶ月以内 (開業2年目以降は申告年の3月15日まで) ・提出先:税務署 |
施術所開設届 | ・内容:エステメニューにマッサージを含む場合に必要な届出 (あん摩マッサージ指圧師の資格が必要) ・期限:開設後10日以内 ・提出先:保健所 |
美容所開設届 | ・内容:エステメニューにマツエクを含む場合に必要な届出(美容師免許が必要) /メニューに顔剃りを含む場合に必要な届出(理容師免許が必要) ・期限:開業日の10日前 ・提出先:保健所 |
エステサロンの経営に関わる資金を管理する、専用の銀行口座開設およびクレジットカードを発行しましょう。
個人利用のものと区別をしておかないと、確定申告のための帳簿づけが複雑になってしまうため、最初の売上が発生するまでに完了させておくことが重要です。
金融機関によっては、開設までに数週間かかることもあるので早めに手続きを行いましょう。
なお事業用口座を申し込む際には、開業届の控え(のコピー)を提出することが一般的です。
エステサロンがオープンしたら、日々の収支を記録する必要があります。
特に青色申告で確定申告をする場合は、複式簿記という少し複雑な形式での帳簿づけが必須です。会計ソフトを導入するなど開業前から準備をしておくことで、経理作業がスムーズに行えるでしょう。
以下の記事では経理の基礎知識を解説していますので参考にしてください。
また開業初期で不安が大きい、運営が忙しくて経理に手が回らないという場合は、専門家である税理士と契約するという方法もあります。
エステサロンの経営者として独立を目指すのであれば、明確なビジョンをもって開業準備を行うことが重要です。
また競合に負けない自分だけの強みを見出すことは、差別化を図り長く生き残るためにも不可欠でしょう。
本記事内で紹介した内容を、ぜひ開業準備にお役立てください。